bizSPA!フレッシュ

「で? なにが言いたいの?」と上司によく言われる人へ。コツは「枠」に頼ることにあり

ビジネス

※画像はイメージです(以下同)

日頃から上司へと報告する際に、「で?何が言いたいの?」と言われることが頻繁にあるなら、はがゆい思いをしているはずだ。なぜ言いたいことが伝わらないのか? どうすれば伝わるのか? 頭を抱えているだろう。

今回は、報告・会議・プレゼン・商談などあらゆるビジネスシーンで使える伝え方テクニックを、1分トークコンサルタントの沖本るり子氏が、新刊「『結局、何が言いたいの?』と言われない 一生使える『1分で伝わる』技術」を踏まえてレクチャーする。

こんな悩みは「1分で伝える」テクニックで解決できる!

日々、こんな悩みを感じていないだろうか。

・言いたいことがありすぎてまとまらない
・話している途中で、聞き手をイライラさせてしまう
・気の利いた返しができない
・周りが思ったように動いてくれない
・相手を否定せずに自分の意見を通したい

沖本氏によれば、これらの悩みは「1分で伝える」という方法が解決の鍵になるという。

「相手に話を聞いてもらい、動いてほしいと思うときには、1分以内で、かつ必要最低限の要素を伝えることがポイント。何が言いたいのかわからないダラダラ長い話は聞く側にとって、イライラして聞きたくなくなりますし、間違った解釈をしてしまうこともあります。伝える側が話を端的にまとめ、相手との解釈違いが起きないようにする必要があります」

●枠に頼ろう
1分で伝えるためのポイントは、「枠」に頼ることだという。

「とっさのときでも、枠を使うとうまく話せます。例えば『2、3個法』という枠があります。これはあれこれたくさん話したいときに、要点を2つか3つにしぼって話すことで、スッキリまとめることができる方法です。このように枠に頼ることで、1分以内に相手にわかりやすく伝えやすくなります」

パッと理解してもらえる1分で話す方法3選

1分でわかりやすく伝えるテクニックは複数ある中、今回は3つの方法を紹介してもらった。悩み別に対応策を教えてもらおう。

1.「何の話?」といつも聞き返されるときの対処法

「『何の話?』と聞き返されるなら、聞く心構えを作ってあげるために、結論から言うことをおすすめします」

失敗例)
課長「他に、何か意見がある人は?」

部下「はい、課長! 料理の食材をお客様にわかるようにしたくて、食物アレルギーがあるお客様を不安にさせないようにしたいです」

課長「え? 何? 不安?」

「この例の失敗の原因は、課長に聞く心構えができていないこと。話をキャッチボールのボールに置き換えてみてください。いきなりボールを投げられて、瞬時に受け止められる人はどのくらいでしょうか。ボールを受け止めきれずに、体に当たったり、ついボールを避けてしまい、遠くに転がっていってしまうことも多々あります。会話も同様です。相手が話を聞く心構えができるように、次のように結論から伝えましょう」

「はい、課長! 提案は、料理の食材をお客様にもわかるようにすることです」

「『提案は、』と言われると聞き手はこれ以降の話を提案の内容だと思って聞くことができます。短い1分であったとしても、これから何について聞けば良いのか、聞き手の心構えを作ってあげることが重要です。『お願いは、』『報告は、』『理由は、』『根拠は、』『サイズは、』といったように1分でも結論から伝えましょう」

●質問が来たときも結論から言う
「自分が話した後、上司から質問が来たときも、結論から言うことをおすすめします。質問をされた部下自身も、これから何を言うのかを自分自身に宣言することにもなります。そのときの結論とは、上司の質問です。

例えば『〇〇商事の契約状況はどうなってる?』と質問されたら、『〇〇商事の契約状況は、』と結論から話し始めます。もっとわかりやすい例を出せば『好きな色は、何色?』と質問されたら、『好きな色は、』が結論です。
また結論を話した後で少し間(ま)をとると、より上司が部下の答えを聞く姿勢をつくることができ、部下は質問の答えを考える時間を取ることができます」

2.なぜか最後まで話を聞いてもらえないときの対処法

「話を最後まで聞いてもらえないときは、一文で言いたいことを一つに絞ってみましょう」

失敗例)
●自己紹介シーン
「はじめまして。私は、〇〇〇〇といって、岡山県出身で、会社員で、入社1年目で、総務部に所属していて、映画と料理が好きで、練馬区に住んでいて、最近はダンスにも興味があって、スポーツは苦手ですが、ちょっと体験したくて今日は参加しましたのでよろしくお願いします。」

「自己紹介にありがちなのが、このように話が途切れることもなく続く話し方です。最初の10秒くらいは音として耳に入ってきますが、次第に頭の中に話の内容が入ってこなくなります。

聞き手が聞きやすいように、内容によって一つ一つを区切ってみましょう。例えば、名前を言いたいのであれば、名前だけの1文、好きなことを言いたいのなら、好きなことだけを1文にします。『岡山県出身で、練馬区に住んでいます。入社1年目の会社員で、総務部に所属しています。映画と料理が好きです』というようにです」

●報告のときは最初に全体の内容を1文で伝える
「上司に報告するときも、1文がだらだらと続く人が多く見られます。報告のときは、まずこれから伝える内容の全体が何についてなのかを最初の1文で伝えると良いでしょう。自ら上司に報告をする場合は『工場での聞き取りの報告があります』と話を切り出します。続けて、いろいろな視点で区切った内容で報告をします。

例えば、『総評は、~~です』『みなさんの課題は、~~でした』『先週末に起こった問題は、~~でした』『損害額は、〇〇円』『原因が、~~~~』
先にお伝えしたように1文ずつに結論となるタイトルをつけて伝えることもポイントです。この場合のタイトルは『総評は、』『みなさんの課題は』『先週末に起こった問題は』『損害額は』『原因が』の部分です」

3.言いたいことがありすぎてまとまらないときの対処法

「相手にしっかり伝えようと思うあまり、あれもこれもとたくさん話そうとする人がいますが、これもダラダラとまとまりがなく、長くなりがちです。そこで、先ほどお伝えしたようにあらかじめ枠を用意しておき、その枠の中に言葉を入れていくことをおすすめします。早速『2、3個法』という枠を次の3ステップで使ってみましょう」

●「2、3個法」のやり方3ステップ

ステップ1「内容の数を最初に伝える」

「聞き手はどれぐらいの量の話を聞けば良いのか、最初に伝えます。例えば、『今年度の個人目標は、3つあります』といったようにです。人は心理的に、3つくらいが聴ける限界といわれています。『問題は3つです』『今日の報告が3つあります』など。すると聞き手は『これから3つ聞けばいいんだな』と先が見えることで、安心して話を聞けます」

ステップ2「単語で話して、単語で刺す」

「次はその3つの内容を、単語で伝えます。『1つ目は〇〇。2つ目は〇〇。3つ目は〇〇です』。このときの単語は、相手にとって話の内容がよくわからないものにするのがコツです。例えば、『今年度の個人目標は、3つあります。1つめは、体。2つめは、英会話。3つ目は、パワーポイント』といったようにです。

多くの人は、文章で長々と伝えることが多いのですが、最初に単語で伝えることにより、聞き手にもっと詳しく知りたいという関心を持たせることができます。『なんだろう?どういう意味?』とその先の話に興味が湧いて、前のめりで聞こうと意識が変わるのです」

ステップ3「単語を一つずつ詳細説明する」

「続いて、一つずつ単語の説明に入りましょう。『1つめの〇〇は、2つめの〇〇は、3つめの〇〇は、』と説明します。
そして仕上げに最初と最後で同じ内容を2回伝える技を使いましょう。単語を再度伝えることで、聞き手は各単語を合計3回聞くことになり、より一層、脳に残りやすくなるのです。
そして、『この3つを今年度の個人目標といたしました』とまとめることで、聞き手に何の話をしたかを改めて思い出させることができます」

参考例)
「今年度の個人目標は、3つあります。1つめは、体。2つめは、英会話。3つ目は、パワーポイント。
1つめの体は、健康的な体づくりのため、トレーニングジム通いをすることにしました。2つめの英会話は、オンライン講座を受けようかと思っています。3つめのパワーポイントは、資料作りをなんとかしろとアドバイスを受けたので、みなさんに教わって学ぶつもりです。
以上、体、英会話、パワーポイントの3つを今年度の個人目標といたしました」

コツは「自分軸」ではなく「相手軸」で考えて伝えること

沖本氏は、相手に伝えたいときに限らず、コミュニケーショ全般に必要なポイントがあるという。

「コミュニケーションとは、一言で言えば伝達です。つまり、伝える力を高めることで、コミュニケーション力を高めることができるのです。相手に伝えるためには、相手が聞きやすいか、相手がどう解釈するかといった相手軸で考えることが不可欠です。

よく『自分がされて嬉しいことを相手にしなさい』と言われますが、これは自分軸で考えています。実際、自分がされて嬉しいことが、相手が嬉しいとは限りません。ですから『相手はどんなことをされたら嬉しいと感じるだろうか』と自分を軸に考えるのではなく、相手を軸として考えるとコミュニケーションがうまくいくようになります」

上司への報告や連絡時にいつもうまく伝わらないと感じているなら、今回の方法と共に、沖本氏の書籍にも当たりながら、相手軸で伝わる方法を模索してみてはいかがだろうか。

<取材・文/一ノ瀬聡子>

=====

【取材協力】

沖本 るり子氏
1分トークコンサルタント
「5分会議」で「意見はすべて1分以内にまとめる」ことを提唱。TBS報道番組Nスタで“プレゼンの達人”と紹介され、台湾労働部の講演会でも登壇した。著書は『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)、『「結局、何が言いたいの?」と言われない 一生使える「1分で伝わる」技術』(大和出版)他。
http://www.e-cheerful.co.jp/

webメディアのライター。ビジネスハックやスキルなどを専門家に聞くのが楽しくて仕方がない。読みやすくわかりやすい文章を心がけている

「結局、何が言いたいの?」と言われない 一生使える「1分で伝わる」

「結局、何が言いたいの?」と言われない 一生使える「1分で伝わる」

報告・会議・プレゼン・商談・人間関係etc. 1分トークコンサルタントが明かす、意見が通り、味方が増える39のコツ。 あなたは、こんな悩みはありませんか? ・言いたいことがありすぎてまとまらない ・話している途中で、イライラさせてしまう ・気の利いた返しができない ・周りが思ったように動いてくれない ・相手を否定せずに自分の意見を通したい 「私のことだ!」とピンときた方――。 今すぐ、本書をめくってみてください。

人気タグ

おすすめ記事