菅直人元首相「ヒトラー発言」騒動で思わぬ”余波”。橋下氏と維新の関係はグレーゾーン
テレビで大活躍中の橋下徹氏を菅直人議員がヒトラーになぞらえて批判的に言及したことをきっかけに、バトルが勃発しています。日本維新の会を立ち上げた橋下氏は、今や維新とは無関係との立場を貫きます。他方、維新は党をあげて正式に立憲民主党へ抗議。ヒトラーになぞらえるのは、問題ある発言だったのか?
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首相官邸や政界の取材歴が10年超のフリーランスカメラマン小川裕夫(@ogawahiro)が、ヒトラー発言にまつわる立憲・維新などの思惑と動きを解説します。
維新の“広報番組”に問題視の声も
元大阪府知事・大阪市長の橋下徹氏は、政界から引退した後もテレビに引っ張りだこの人気コメンテーターとして活躍。元府知事・元市長という肩書きと、政治経験が武器になっていることは言うまでもありません。
2022年1月1日、MBSが放送した『東野&吉田のほっとけない人』というトーク番組には、橋下徹氏・大阪市の松井一郎市長、大阪府の吉村洋文知事3人が揃って出演。司会の東野幸治さんとブラックマヨネーズの吉田敬さん相手に、約45分間にわたって政治的な主義主張を開陳しました。松井市長も吉村知事も、日本維新の会の政治家です。また、橋下氏は日本維新の会の創設者ですから、実質的に同番組は維新という政党の広報を担ったことになりました。
いくら人気のある3人とはいえ、ここまで全面的にひとつの政党の主義主張を公共の電波で流すことには疑問を抱かざるを得ません。大阪府民・大阪市民の全員が、維新という政党を支持しているわけではないのです。
テレビ局は公共の電波を半ば独占的に使用できます。そのため、政治的な案件を扱う場合は、不偏不党に努めなければなりません。あまりにも維新色が強かった番組だったこともあり、MBSの社内からも同番組を問題視する声が出たようです。
菅直人議員のツイッターが火元に
新年早々から維新は話題を振り撒いてきましたが、2月に入ると、今度はSNSが火元となって話題を独占します。その発端は、立憲民主党の国会議員で東日本大震災の発生当時に首相を務めていた菅直人議員のツイッターです。
菅議員は、ツイッターで橋下氏をナチスドイツのヒトラーになぞらえて批判的なツイートをしました。これが、橋下氏の怒りに火を点け、維新代表の松井一郎市長や吉村洋文府知事から謝罪を要求される事態へと発展したのです。
その後、維新の馬場伸幸議員が、菅議員と直接会談して抗議するという場面もテレビで放送されました。馬場・菅会談の一部始終を見ると、菅議員から「橋下氏と維新は何の関係があるのか?」と質問に対して、馬場議員は「関係はありません」と答えています。その答えを聞いた菅議員は「関係がないなら、お帰りください」と門前払いのような対応に終始しました。