お荷物社員から外資系管理職→起業家に。ストレス対策に「鋼のメンタルは必要ない」
この春、大学入学や新社会人、転職など新たなライフステージを迎える人は多いことだろう。しかし、環境が変われば、予期せぬストレスに直面することもある。中にはストレスが引き金になって適応障害や不安障害を発症してしまう人もいる。
認知行動療法に基づくストレス対処サービスを展開するマイコーピング株式会社の代表取締役・徳政憲和さん(@nori76)は「厚生労働省の調査によると、生涯のうちに何らかの不安障害に罹る人は人口の9.2%(約1100万人)いると推計されています。仕事をしている限りストレスは不可避です。予防的にストレスにうまく対処する力を身につけておくことが求められます」と述べる。
不安という“魔物”に打ちのめされた
実は、徳政さん自身も不安障害によって受験、就職、転職とライフステージの節目で、ことごとく失敗を繰り返してきた。不安という“魔物”に打ちのめされ続けた日々から彼を救ったのが、認知行動療法との出会いだった。
徳政さんが不安に悩まされるきっかけは、大学浪人中のことだった。
「受験のプレッシャーが原因だと思いますが、突然強烈な不安に襲われて、勉強が全く手につかず、ほとんど寝込むような状態になってしまいました。試験だけは這いつくばりながら受けましたが、10数校を受験し、受かったのはたった1校だけ。もし、その精神状態で2浪することになったら、そのまま受験を諦めていたと思います。」
何とか大学進学を果たしたが、卒業時には就職氷河期に直面。アメリカの大学への交換留学で国際的に通用する力を身につけておこうと考えていたが、再び不安という魔物が容赦なく襲いかかってきた。
一念発起して転職するも…
「英語力が不十分だったため現地では最低限のコミュニケーションにも苦労し、大学の寮で引きこもり状態になってしまうこともありました。帰国後も、将来への強い不安に翻弄されながら就職活動で苦労し、なかなか内定をもらうことができませんでした。なんとかコニカミノルタに内定をもらうことができたのは本当に幸運でした」
入社後も不安を抑え込みながら仕事をするので精一杯だったが、「新しい挑戦で自分を変えたい」と一念発起し、IBMビジネスコンサルティングサービスの中途採用に応募。見事に内定を勝ち取ったが、これがさらなる悲劇に繋がった。
「当時は外資系金融やコンサルタントが“勝ち組”ともてはやされていた頃で、正直言うとどこかで彼らに嫉妬や憧れがあったんです。しかし、実際にコンサルに転身したものの、成果は上げられず、クライアントに怒鳴られる日々。そこにリーマンショックが重なり、『社内に異動先を見つけられなければクビ』とリストラを宣告されてしまいました」