夢の海外勤務の現実…半端ないシビアさと、赴任先で得たものとは
いつか海外で働きたい、そう考える人はたくさんいますよね。
海外に拠点があったり、海外と取引があるような大手企業に入り、いつか海外に赴任できたらいいな……。そんな夢を抱き大手企業を目指す人もいるでしょう。しかしその夢を叶えられる人はほんの一握り。
しかも希望のタイミングで希望の国に転勤ができる幸運な人はなかなかいません。かといって、何もツテなく単身海外に渡り、現地でやりがいのある仕事に就くというのも並大抵のことではありません。。
20代でアメリカ転勤の夢を叶える
そんな中、ベンチャー企業に勤める高山厚司さん(仮名)は、20代でアメリカ転勤の夢を叶えました。
若手でも裁量ある企業で、20代で海外転勤を叶えた高山さんに、渡米前に抱いていた理想と、海外転勤の実態を聞いてみました。
「グローバルで活躍したいとずっと思っていました。将来は起業したいと思っているので、海外経験を身につけたかった。転勤が決まりウキウキしていましたね。周りからは激励と称賛の嵐だし、輝かしい未来しか見えないわけですよ。しかも大手に勤める友人は、まだ誰も海外に赴任できていない。それも優越感でした」
転勤前に抱いていたのはキラキラした海外生活。高山さんは、持ち前の社交的な性格もあり、すぐに友人や恋人ができ、自然に英語も話せるようになるだろうと期待していたそうです。
念願かなって渡米した高山さん。まずは生活環境を整えることから取り掛かりました。大手企業と違って、住む場所の手配やインターネット回線の契約などはすべて自ら行わなければなりません。
海外生活で痛感した“生活コスト”の高さ
そこで痛感したのは生活コストの高さ。下調べはしていたものの、税金も含め、衣食住あらゆるコストが日本と比べて高いことを痛感したそうです。
「ベンチャー企業ですし、十分な海外手当は出ませんでした。それは理解した上で、転勤をしたので生活が厳しくなることは想定していましたが、しんどかったですね。特にツラかったのは食費です。日本だと、“安くてうまい”ものがたくさんある。アメリカでは基本的には“まずくて高い”ものが多いんですよね」
配属先は「東海岸のとある州だった」そうです。肝心の仕事面はどうだったのでしょうか。
「日本で、海外向けの部門をメインで回していた自負もあり、実際に海外に行けば相当成果が出せると思っていた。でもそれは大きな間違いでした。言葉が十分に話せない上に、渡米したばかりの僕がアメリカオフィスでできることなんてほとんどないんです。オフィスで一番仕事ができない人になってしまった。ヒエラルキーの転落です(笑)これを受け入れるのはマジでしんどかったですね」