東大から出版業界へ…29歳女性が悩む「逆学歴コンプレックス」
会社を辞めてフリーライターに
現在は出版社を退職し、フリーライターとして活動している牧野さんですが、ここでも「東大卒」の弊害が立ちはだかりました。
「ライターは特に人脈がものをいう仕事。ですが、東大在学中の知り合いはどうしても官僚や裁判官、弁護士、研究者といった“真面目でおカタイ職業”の人ばかりになってしまいます。
その点では、早慶やMARCHでメディア論を専門的に学び、多様な人脈を築いてきた人材のほうが強いと感じていますね」
“逆学歴コンプレックス”の悩み
「東大卒」という強力なレッテルに苦しめられる牧野さんの姿は、まさに“逆学歴コンプレックス”といえるでしょう。東大卒は「どこ卒?」と聞かれて「一応、東大です」と答えるとよく言われますが、この「一応、東大です」も逆学歴コンプレックスが生んだものかもしれません。
「いっそのこと他の大学に入るか、東大卒の多い職場に勤めていればよかったな……なんて考えがちらつくこともあります。でも、今さら言ってもしょうがない。このレッテルと生きていくしかないですね」
そう呟く牧野さんが印象的でした。
<取材・文/小泉ちはる イラスト/三澤祐子>