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「鶏レアチャーシュー」で19人が食中毒…鶏肉の生食はなぜ危険なのか

暮らし

〈誤解1〉新鮮な鶏肉だから大丈夫という誤解

鶏肉 たたき

「うちのは新鮮だから」と胸を張って鶏刺しを出す店があるが、カンピロバクター食中毒については「新鮮さ」は安全の裏付けにはならない。むしろ新鮮な鶏肉のほうがリスクが高いと言ってもいい

 カンピロバクター菌は酸素濃度5~15%で増殖する微好気性菌。酸素濃度約21%の大気中では増殖できず、徐々に死滅していく。つまりカンピロバクター食中毒という観点だけから見るなら、多少時間がたってからのほうがリスクは低くなる側面がある。新鮮さは万能ではない。

〈誤解2〉「鶏肉のタタキ」は表面が加熱されているから大丈夫という誤解

 2019年に高知市で起きた食中毒事件では、下痢や発熱などの症状を訴えた男女が17人に上った。彼らは飲食店で「鶏肉のタタキなどを食べた」という。「タタキ」なら表面は加熱されている。しかし鶏肉の場合、表面を加熱しただけでは「安全」とはならない。

 重要なのは「いつ」「どの状態で」加熱されたか。例えば、すでに表面がカンピロバクターに汚染されてしまった鶏肉が飲食店に入荷し、包丁で切ったとすると、表面の菌が包丁の表面を介して、鶏肉の断面にも付着してしまう

 そもそも「タタキ」や生食することを視野に入れるならば、出荷段階で菌が陰性になっているのが必要条件。もちろん調理に使う包丁やまな板は、洗浄・殺菌されている必要がある。しかし、生産、解体、調理、提供というすべての段階でカンピロバクターに汚染されるリスクがある。生食にはそうした危険が伴うことを、飲食店や客はどれだけ知っているのだろうか。

教養としての「焼肉」大全

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