未払い残業代は取り戻せる。CEO弁護士が目指す「泣き寝入りゼロ」の社会
裁判費用を助成する制度はあるものの…
しかしここでひとつ疑問が浮かびます。民事裁判を起こすそのにお金がかかることは、国も承知しているはずです。費用を助成する制度はないのでしょうか。
「法テラスが『民事法律扶助』という支援制度を設けています。この制度を利用すれば、たとえ経済的に余裕がなくても無料で法律相談を受けられますし、弁護士・司法書士の費用を立て替えてもらえます。審査に通過すれば、訴訟時にまとまったお金が手元になくても訴訟ができるメリットがあります」
民事法律扶助については南谷氏も「素晴らしい制度」と感じているものの、費用はあくまで「立て替え」であることに課題を感じていました。受け取ったお金は、判決前であっても分割で支払う義務を利用者が負っているからです。
「返済は立替金受け取りから原則、2か月後に始まります。裁判に勝って金銭の回収ができれば良いですが、敗訴したり、勝訴してもお金を取れなかった場合の金銭的かつ精神的な負担は大きくなります」
裁判に負けても、金銭的な負担がない
南谷氏が代表を務める日本リーガルネットワークは、2019年より、民間で初となる弁護士費用立替・補償サービス「アテラ」を提供。同サービスは弁護士依頼の着手金や実費をカバーすることから、手元にお金がなくても訴えを起こしやすくなるのです。裁判にかかる費用を支援する点では「民事法律扶助」と同じですが、最大の違いは、敗訴した場合などには利用者の返済義務がないことです。
「敗訴時には、判決に至るまでの費用の支払い義務は発生しません。回収に失敗した際も同様です。つまり金銭的な負担なしで裁判に臨んでいただけます」
審査結果にもよりますが、アテラからの提供額の幅は20万~1000万円まで。さらに裁判中の生活費等を支援する「クイックマネーサポート」も用意されています。