日本の平均給与は433万円…日本だけ賃金が下がり続ける“3つの根本原因”
実質賃金が下がり続ける“3つの根本原因”
なぜ、日本だけがこのようなことになっているのでしょうか。その答えは複合的です。ただし、3つのポイントを抑えておくと理解しやすくなります。
1つはデフレが長引いて企業の投資機会が失われていること。もうひとつは雇用のミスマッチが広がって中間層が消えつつあること。そして、賃金交渉力が他国に比べて弱いことです。この3つを理解すると、個人が年収を上げられるヒントになります。
アベノミクスでは「2%のインフレ目標」を掲げていました。この目標は現在も日本銀行が追いかけており、金融緩和を継続する根拠にもなっています。インフレとは物価が上昇することを指します。100円だったオレンジジュースが200円になれば、インフレが進行したことになります。消費者にとっては、物価が上がることは好ましくないように思えます。
「インフレが起これば賃金も上がる」という通説
しかし、インフレが起これば賃金も上がるというのが通説です。景気が良くなって物価が上がる、企業が儲かる、儲けたお金で設備投資をする、働き手が不足する、賃金を多く払って人材を確保する。豊かになった人々の消費が活発になる。このようなサイクルができるためです。
日本銀行は異次元緩和と呼ばれる大規模な金融緩和策を推し進め、市場に出回るお金の量を増やしました。お金の量を増やすというとイメージしづらいですが、簡単に言うと金利を下げて企業や消費者がお金を借りやすい状態を作りました。
住宅ローンの変動金利はメガバンクで0.4~0.6%程度と極めて低い水準に抑え込まれています。銀行にお金を貸す日本銀行が金利を下げているため、このようなことが起こっているのです。