レトルトタイカレーの老舗が歩んだ20年「鯛のカレーと勘違いされた事も」
「鯛のカレー」と言われたことも
――レトルトのタイカレー。2000年頃だとまだ消費者も慣れていなかったと思います。当初の反応はいかがでしたか。
弓矢:流通の反応はかなり厳しかったですね。当時はタイカレーと言ってもピンとこないバイヤーさんも多くて、「魚のタイ(鯛)のカレーですか?」と真面目に言われたこともありました。あとはココナッツミルクやハーブの香りを経験したことがない人が多かったようで、美味しくないという反応も結構あったんですよ。
最初の頃はなかなか置いてもらえませんでしたが、店頭で試食販売をしたり、代々木公園のタイフェスティバルにも1回目から出店して啓蒙活動をしたり、それらが地道に広がっていったのかなと思います。
――発売から20年経ちましたが、この20年で日本の食卓はどのように変わったと感じていますか。
弓矢:中華や洋食が日常的になったり、お米の消費が落ちてパンが増えたり、食のバリエーションは本当に多様になったと思います。弊社のタイカレーの売り上げも20年で順調に伸びていまして、初年度と比べると10倍くらいになっているので、エスニックを取り入れる食習慣は広まっているんだなあと肌で感じていますね。
現地に工場があることが大きな強み
――確固たる地位を築き上げたタイカレーシリーズですが、ヤマモリのタイカレーならではのこだわりを教えてください。
塚原保子(以下、塚原):やはりタイに工場を持っていて、お肉や野菜、味の決め手となるハーブやスパイスを現地で調達して作っているところですね。指定農場がタイの北部にありまして、こぶみかんの葉、レモングラス、スイートバジルなどのハーブ類、唐辛子、タイ茄子をはじめとする野菜も栽培しているんです。
――カレーの味は定期的に変えていたりするんでしょうか。昔のグリーンはもっと強烈に辛かったイメージがあったんですけど、最近は食べやすくなっているような。
弓矢:当初より濃厚さがアップしているんですね。その部分で辛さを多少感じにくくなっているのかもしれませんが、そこは誤差みたいなところなんです。なので舌がだいぶ慣れてしまったんじゃないかと思いますね。