1回の取引でどれだけ利益を出せているか？

　ぼくがおすすめしたいのは、「1回の取引でどれだけ利益を出せているか？」という問いかけをしてみることです。この問いかけには、コンフィデンシャルな情報へのアクセスや、財務諸表の分析のスキルがなくても答えることができます。

　もし1回の取引で莫大な利益が出るような仕組みを構築できている企業であれば、うまくいく可能性は比較的高いと言えます。

　かなり高い値段でも安定して売上が立っているSaaS企業（クラウドサーバーにあるソフトウェアを、ネットを経由して利用できるサービス）や、一発の取引額が大きいコンサルティングファームや投資銀行、研究開発にはお金がかかるものの一度できてしまえば安定して利益を取れる製薬企業などは、一般論として安泰である可能性が高く、よってあなたの待遇や成長も一定程度担保されます。

マーケットでの地位がある企業なら大丈夫

　逆に、1回の取引でほとんど利益が出ない、もしくは赤字になっているようなビジネスを展開している企業だと、将来性という意味では相当厳しいです。

　もちろん、薄利多売で成長を続けているような企業もありますが、そのような企業は、莫大な量の取引を実施しつつ、市場のリーダーとしての立場を築けているからこそ、その戦略が取れるのです。

　マーケットリーダーとしての地位を確立しているわけでもないのに、値下げの連続で利幅を圧縮しているような企業は、一般論としてあまり先が明るくないです。

　あなたが今働いている企業はどちらでしょうか？ 一発の取引できちんと利益を出せているでしょうか？ もし答えが明確にNoならば、もしかしたら転職を考えるべきかもしれません。もちろん、転職先を選ぶときにもこの観点をお忘れなく。

＜TEXT／戦略コンサルタント Shin＞