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「男は黙って」からのイメージ転換。サッポロ黒ラベルがZ世代にウケる訳

ビジネス

初めて女性が、黒ラベルのブランドマネージャーに

 齋藤氏は2010年に入社以来、マーケティング畑ひとすじ。2020年4月現職に就任する前はサッポロホワイトベルグやサッポロラガービールなどのブランドマネージャーだった。また「黒ラベルの担当はいずれはやりたい仕事だった」と語る。

「大学時代にはマーケティングのゼミに入っていたほど、もともとマーケティングに興味がありました。1年目は東海北陸エリアでワインや洋酒などの担当。営業の方との距離も近く、商談や流通小売店・飲食店の現場も見学させてもらいました。2013年に本社に異動してから、デジタルマーケティングの部署などを経て、2020年4月から黒ラベルのブランドマネージャーを務めています。こんな早くチャンスをもらえるとは思わず、最初に話を聞いたときは、別の誰かと間違えているのかと思いました(笑)

 とはいえ、営業経験がないまま今の役職につくことに不安はなかったのだろうか。

「やっぱり現場を知ることがマーケティング活動には必要なので、まずは営業の仕事をするつもりではありました。ただ、その気になれば、現場はいくらでも見られるのと、営業職が長いと特定の取引先の印象が残って、広い視野での判断にフィルターがかかってしまう恐れもある気がします。今ではこのキャリアで良かったと感じています」

多様化する若者の飲酒トレンド

サッポロビール

 ちなみに、黒ラベルのブランドマネージャーを女性が務めるのは初めてのこと。サッポログループの従業員のうち正社員女性が約2割(2018年度時点)なので、異例の抜擢と言えそうだが。

ただ、この会社に入って女性であることを意識することや、女性だからやらせてもらえるという感覚はありません。もっと前は30代の方もいましたが、前任までは男性で40代前半くらいが多く年齢としては若いほうだと思いますが、昨今では女性の社会進出も進み、お酒を飲む方も増えてきているので、そこに対するコミュニケーションもできるのかなと思います」

 一方で、冒頭にも述べたように「ビール離れ」にとどまらず、あえてお酒を飲まない微アルコール派(ソバーキュリアスとも呼ばれる)、ストロング派、家飲み派など若い世代の“飲酒トレンド”は多様化している。こうした声にはどう対処していくのだろうか。

「酒類メーカーであるサッポロビールとしては、そういった多様なニーズ、価値観に対応する商品を出していくことも大事です。ただ、黒ラベルを飲みやすくしたり、フレーバーを変えたりするつもりはもちろんなく、いかなる時代も生ビールのど真ん中の魅力を提供するのが黒ラベルとしてのミッションだし、ビールの新しい価値を提供することでそうした課題は乗り越えられると思っています」

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