“いじられキャラ”のコロチキナダルが語る「いじり」と「いじめ」の境界線
大阪時代「いじり」で閉じこもったことも
ナダル:でも、大阪時代、ちょっと嫌な経験があって。
ゴリゴリの大阪芸人の方たちからの「いじり」が僕にとっては「いじめ」っぽく感じたことがあったんです。だから、みんなが集まる楽屋に入らず、こっそりバレないように非常階段で時間を過ごしたり、キャパオーバーになってましたね。
結局、言われる側次第で、「これはいじめじゃないぞ」って思ったら「いじられ」になるんですよ。あと、なんだかんだ芸人さんは優しいし、人一倍空気読むのがうまいじゃないですか。「これ以上言ったら引いちゃう」という線引きがしっかりしてるから、学生のころと違って委ねられるところもあるというか。いまは心に余裕もできてます。
娘にはなんでもオープンに話していきたい
――こうした経験を踏まえて、ナダルさんの娘さんにはどうアドバイスしてきたいとかありますか。
ナダル:今後、娘は物心ついたらこう思うんですよ。「私の親、ナダルかい!」って。僕もいま笑いのためにいじられてるところもあるんですけど、そのキャラをちゃんと話して理解してもらおうかなと。だって、いまもSNSでは毎日「ずっとスベってたな」とか「芸人じゃないもんな」とか批判が来ますからね。
中学のとき、親にはいじめられてることがプライドが邪魔して言えなかったので、娘に「お父さん嫌われてるのかな?」って思われる前に、自分からオープンになっていこうかなと。
僕、いじめ経験があったことによって、お笑いに結びついたとも思うんですよ。最初は「やりたくないことはやらない」って頑固になってる面倒くさいキャラでしたし。いじめられて、相手の気持ちを考えるようになったというか、個性を潰して喜ばれることをやりだしたと思う。
それに、テレビとかいろんなところで無茶苦茶されてますけど、いま全然気にならへんし、学生時代を経てめちゃめちゃ耐久レベル上がってたんだなって。いじめに対する完全な答えなんてないですけど、全部マジで受け取らず「こいつアホやな」って流してれば、しんどいのも少しは楽になると思います。絶対余裕のある毎日が送れるときがくるんで。
<取材・文/東田俊介>
【ナダル】
1984年生まれ。NSC大阪校33期生、2012年4月に西野創人とコロコロチキチキペッパーズを結成。2015年、キングオブコント2015で優勝。YouTubeチャンネル「コロコロチキチキペッパーズのよろチキチャンネル」は日々更新中。Twitter:@korochiki_nadal