“いじられキャラ”のコロチキナダルが語る「いじり」と「いじめ」の境界線
近年定着してきた、テレビでの「いじられキャラ」の存在。出演者は仕事として、了解の上にそのキャラクターを受け入れているが、テレビで行われることを現実社会に用いるとどうだろう。「いじり」と称して冗談や遊びのつもりでやったことが、相手には「いじめ」と受け取られる可能性もある。
これは学校に限定した話ではなく、会社や友人コミュニティの中でも十分起こりうる問題で、それによって心の病を発症、やむなく休職、そして退職……という例も枚挙にいとまがない。
前回、中学生時代の「いじめ」体験を語ってくれた、コロコロチキチキペッパーズのナダルさん(36)に、その後の学校生活のゆくえ、また芸人になってから感じた「いじめ」「いじり」の境界線について聞いた。全2回のインタビューの後編をお届けする。
「引き笑い」が原因で先輩からいじめ
――前回のインタビューでは中学時代までのいじめ体験を聞きましたが、高校からはとくに問題なく過ごせていたのでしょうか。
ナダル:中学校で女子からいじめられたまま卒業して、高校で「さあ心機一転」と思ってたんですが、“暗さ”はずっと引きずったままで、クラスでもずっとだんまりでしたね。自分の発言でまたいじめられるんちゃうかって、心にストップがかかってたんでしょうね。
でも部活に入ろうと思ってサッカー部に入ったんですが、早々に先輩からいじめをくらいまして。僕をテレビで見てるとわかると思うんですが、かなりの「引き笑い」になんですよ。その笑い方がめっちゃ嫌いな先輩がいて、「お前、ムカつく笑い方やめろ」って言われて。
それからは意識して部活内では笑わないようにしていたんですけど、学校で同級生のやつと会話で笑ってたら、遠くから先輩がわざわざ走ってきて「お前笑ってたろコラ、今日グラウンドにトンボかけろ」って。理不尽なことが多すぎて、1年の夏休みにやめちゃいましたね。いま思い出してもムカつきます。
キツめの童貞で暗いって一番イヤですよね
ナダル:そこからは学校終わったら、家にまっすぐ帰ってゲームばかりしている毎日でしたね。女子とは……脇毛ボーボーに生えてるみたいな暗い子とはしゃべれてました。
いわゆるギャルっぽい子からは相変わらずマウント取られて虐げられる存在。でも「性の目覚め」はしっかりあったので、階段でスカートの中が見えたらその日はすぐ家でシコってましたよ。“シコリダッシュ”ですね。キツめの童貞で暗いって一番イヤですよね(笑)。
――大学に入ってからはどうでしたか?
ナダル:学生生活で一番マシだったと思います。一気に社交的になれたというか、そこで大学の友達が「面白いから」って芸人を勧めてくれたんですよ。でも当時は、「いじる側」にいて、それで吉本のNSCに入ったんですが、全然いじりで笑い取ることができなくて。
結局、自分が周りにいじられてウケを取っているって気づいたのは相当後でしたね。中学・高校では自分がツッコまれて笑いを取るなんて経験がなかったから、想像もできなかったんですよ。