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「好きな子と仕事、どっちを取る?」27歳SEが今でも悔やむ苦渋の選択

暮らし

もしものシチュエーションが訪れてしまう

「『クリスマス・イブにカップルでレストランでディナーとかベタすぎる』というものでした。お互いにその手のムードがあることが苦手で、ネタにして笑っていたんですが、ふともしかしたらチャンスかもしれないと思ったんです。それで『あえてクリスマスにディナーやってみない?』とギャグっぽく誘ってみることにしたんです。彼女は『ウケる』と言いながらもOKしてくれました。これはチャンスだと思いました。この日、告白すればいけるんじゃないかと……」

 成功したら渡そうと思い、ささやかなプレゼントも用意した矢野さんでしたが、思わぬ事態に襲われます……。

「自分が担当している社内システムに不具合が発生。判明したのは確か12月20日を過ぎた頃でした。最初は数日あれば解消できるだろうと踏んでいたんですが……」

 原因の特定するまでに時間がかかってしまい、気がつけば約束の前日である23日に。

「その年のクリスマスイブは土曜日でした。まさかとは思っていたんですが、不具合が解消できないまま24日に休日出勤に……。『仕事よりも好きな子を取る』と言った手前、話せなかったんです。いざその状況になると、さすがに仕事を投げ出すわけにもいかず……。苦渋の選択でした」

不具合は解消できず、元の関係にも戻れず

クリスマス

 なんとか時間までには終わらせて向かうつもりで、無我夢中で対応しましたが結局、24日も不具合は解消できないまま、約束の時間だけが刻一刻と迫ってきてしまいます……。

「彼女になんて言い訳したら良いのか、途中からはそればかり考えていましたが、何ひとつ思いつきませんでした。彼女に連絡できないまま時間だけが過ぎ、『ごめん。行けなくなった』とLINEできたのは、約束の時間の10分前で……

 待ち合わせ場所にいたであろうサヤカさんから「わかった」とのLINEがすぐに届いたそうですが……。

「それ以来、いくら連絡しても彼女からの返信が来ることは無くなりました……。社内ですれ違っても視線さえ合わせてくれなくて、僕の恋は完全に終わりました」と嘆く矢野さん。この時期になると、どうしてもあの胃が痛くなるような休日出勤のことを思い出してしまうそうです。

<TEXT/和泉太郎 イラスト/田山佳澄>

込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め

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