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UberEats配達員は、意外と高年収?急伸するフードデリバリーを分析

ビジネス

お店にとってのフードデリバリー

フードデリバリー

「UberEats配達パートナーガイド」に配達員の工夫は載っているが、システムに反映されているとは限らない

 そしてリアル店舗そしてECと同様に、出店すれば誰でも即売上アップというわけではありません。立地やキャパシティをふまえた戦略が不可欠で、店舗とネットの反応を見ながら「ピーク時は受注をストップしてリアル接客優先」「近隣競合閉店後の夜食需要を攻略」などの戦術をチューニングしていきます。

 同じ都心でも高級住宅地から繁華街のど真ん中に移転したらネット上の顧客層が想定外に変化し、リソース配分転換を迫られたこともあるそうです。

 頼んだ人は、ちょっとお金がかかっても早く安全においしいものを食べたい。お店は最高の状態で楽しんでもらいたいし、ちょっとでも日銭を確保したい。配達員はたくさん稼ぎたい(歩合ならば件数をこなして)。食という絶対的なニーズをとりまくステークホルダーそれぞれが満足できるには、まだまだサービス改善の余地も大きいようです。

Uberと出前館。大きく異なる報酬体系

 UberEatsと出前館で大きく異なるのは配達員の報酬体系です。出前館は一般的なアルバイト同様1000~1400円の時給制。バイクや制服は出前館が用意し、配達先のアサインなども全国275箇所の拠点が行います。

 これに対し、UberEats配達員はあくまで個人事業主の位置づけ。デリバリー1件につきお店でのピックアップ、注文主への配達完了と移動距離に対し報酬が発生する歩合制です。

 都内の場合ピックアップ265円、受け渡し125円。距離料金1kmあたり60円は全国一律です。繁忙時や雨の日、お店と注文主による優良配達員評価などで別途ボーナスが加算されます。

 報酬からサービス利用料10%を差し引いた額が配達員の取り分です。自転車やバイクは自前で、あの配達バッグ通称「ウバッグ」も4000円(2020年4月現在。2019年6月までは8000円)のデポジット制で、報酬から1000円ずつ4回差し引かれ、退職の際はバッグと引き換えに返金される仕組みです。

フードデリバリー

UberEats配達パートナーガイドより

 UberEatsを通じてお店へオーダーが入ると後述する配達員向けアプリ「Uber Driver」の地図に案件が表示されるので、運びたい案件に応募完了したら仕事開始。タクシーのように受注しやすい繁華街で案件待ちをする配達員も多いといいます。ある配達経験者によると通常は1時間2件程度が限界とのこと。いかにたくさん運ぶかが稼ぎに直結するため、誰もが本気で急いでいるのだそうです。

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