パチンコ店に就職した若者、コロナ禍の嘆き「閉店でクビもあり得る」
経営状態悪化で閉店の噂も
しかし、客入りは休業前に比べると少し減っているといいます。
「ウチのホールでいえば1円パチンコなどの低価格コーナーで遊んでいた年配のお客さんは3分の2くらいに減っています。同じタイミングに県内のほかのホールも営業を再開しましたし、どの店舗も自粛期間中に無視して営業を続けたホールのような大混雑には程遠いはずです。それに4月から改正健康増進法が施行され、遊戯しながらタバコが吸えなくなりました。その影響もあるかもしれませんね」
経営悪化で系列のホールを閉めるとの噂も出ているそうで、スタッフの中には転職を検討している者も。田中さんも仲のいい先輩からは「お前も最悪の状況を覚悟しておいたほうがいいぞ」と言われたそうです。
「調べてみると、パチンコ業界って市場規模が年々縮小していて将来性はまったく感じられません。大学時代、就活に苦戦していて内定がもらえたから就職しましたが、特に志望している業界ではなかったんです。それに同じ業界で働いている人には申し訳ないですが、これほどバッシングされている状況では自分がパチンコホールで働いているとは胸を張って言えませんよ」
入社1年目では転職を決断できない
でも、辞めるにしても入社した年に退社するのは経歴の傷となりますし、転職市場では間違いなく不利です。かといってこのまま働き続けても希望を見出すのは難しいと考えているようです。
「すでに徳島県のホールチェーンが倒産していますし、今後も続々と出てくるはず。倒産までいかなくても閉店などの事業縮小はもっとありそうです。今年入社なのでボーナスは冬からですが、この状態では0円もおかしくないし、ホール閉店でクビなんて可能性もありそうです。
ただ、早めに決断しなければと思いますけど、まだ答えを出すことができなくて。こんなことなら妥協せずに就活をすればよかったと今さらながら後悔しています」
まさに会社に残るも地獄、去るも地獄。就職したばかりの社会人1年生にとってはあまりに酷な選択です。
― 特集 新型コロナ・若者の憂鬱 ―
<TEXT/トシタカマサ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>