名門レナウンだけじゃない…コロナ倒産した国内外「アパレル業界」5社
日本政府は全国の緊急事態宣言を5月25日にようやく解除した。しかし、長期化した外出自粛要請は様々な業界に大きな打撃を与え続けている。
これまで観光関連企業や飲食・食品業界などの倒産企業を見てきたが、今回はアパレル業界への影響を見てみよう。ECサイト等でのweb販売も一般的になってきたとはいえ、依然、実店舗を販路の中心としていたアパレル業界にとって、新型コロナ禍は大きな痛手となっているようだ。
上場企業“初”の倒産はアパレル業界で
5月15日、上場企業としては初めての”コロナ破綻”となる「(株)レナウン」倒産のニュースが飛び込んできた。
レナウンは1902年(明治35年)創業の老舗アパレルメーカー。「ダーバン(D’URBAN)」「アクアスキュータム(AQUASCUTUM)」「シンプルライフ(SIMPLE LIFE)」など30以上のブランドを展開し、高級紳士・婦人衣料品の名門として広く知られていた。
しかし、今回の新型コロナ禍のなかで、販路の中心としていた百貨店の休業が相次ぎ、売り上げが急激に低下。15日の民事再生法の適用申請の受理により、事実上の経営破綻となった。負債総額は138億7900万円と、現在(執筆時点5月26日)で判明している新型コロナ関連倒産企業の中でも最大となる。
ただ、倒産の直接的な原因は、30年近く続く業績不振にあったようだ。そもそもレナウンは高度経済成長とバブルを追い風として発展を遂げた企業だった。小林亜星が作詞作曲した「レナウン・ワンサカ娘」のテレビCMや、高倉健やアラン・ドロンを広告塔に起用したことも話題となり、1990年12月期には売上高約2317億6500万円と、日本屈指のアパレルメーカーとして君臨した。
ファストファッション、ECサイトの隆盛
しかし、その後のバブル崩壊により売り上げが徐々に低下。事業会社の合併など経営再建に取り組んできたものの、低価格・高品質の衣類品を短いサイクルで世界的に大量生産・流通させるファストファッションの隆盛や、ファッションECサイトなどの潮流に乗り遅れ、新規顧客を獲得できないまま、売り上げが低迷した。
経営不振から2010年に中国の繊維会社大手「山東如意グループ」の傘下に入ったが、2017年、2018年には合計100億円近い経常赤字を計上。2019年には山東如意の子会社である香港・恒成国際発展有限公司に対する売掛金53億円の回収が滞り再び大赤字に。そうしたひっ迫した状況に新型コロナウイルスの感染拡大が重なったのだ。