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「年収アップで転職するのは幸せ?」moto×鈴木祐が語る、キャリア選択の解

学び

 正しいキャリア選択を説いた2冊の書籍が話題になっている。ひとつはSNSで6万人が転職の参考にするカリスマサラリーマンのmoto氏による『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方』(扶桑社)。

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 もう一冊は気鋭のサイエンスライターの鈴木祐氏が、これまで読破した科学論文に基づく仕事選びのコツを伝授する『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』(クロスメディア・パブリッシング)だ。

 moto氏の「転職と副業のかけ算」は、年収アップを徹底的に追い求めた実体験を書いたもの。一方、鈴木氏の「科学的な適職」では、就職・転職失敗の定番パターンが「お金に釣られる」ことだと指摘する。

 果たして年収アップを目指すキャリア選択は間違いなのか? 一体どこに落とし穴があるのか? 正しいモチベーションの持ち方とは? 2人の対談から、その答えを探る。

お金を稼げない人には特徴がある

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――motoさんは「生涯年収を最大化する生き方」を実体験から説かれていますが、鈴木さんは就職・転職の失敗の7割は「視野狭窄」が原因であり、特に「お金に釣られる」ことに警鐘を鳴らしています。

鈴木祐(以下、鈴木):お金を稼ぐこと、金額の大きさを目先の目標にすると幸福度が上がりにくいのは間違いありません。ただし、いかに稼ぐかという観点から言えば、おそらくmotoさんはお金を「自由」の象徴だととらえていますよね。このタイプが唯一儲かるんですよ。年収の上位2.5%の人たちはこの傾向が特に強いんです。

moto:そうなんですか。確かに、お金があることによって増える選択肢もあるので、ある意味でお金は自分を自由にしてくれるものだと認識してます。逆にどんなタイプだと儲からないとかありますか?

鈴木:お金を稼ぐことは汚いことだと思う「嫌儲(けんもう)」。節約を好んでお金を使うのを嫌がる「回避」タイプはもちろん儲からないのですが、実はお金が「地位」の象徴だと思っている人も儲からないです。お金で欲望を満たしたい、他人より優れていると思われたいというタイプですね。

moto:それは納得感ありますね。最近は「お金を稼ぐこと」をゴールにする人を多く見ますが、お金を稼いでどうするのか、その先で何をするのかを考える方が大事ですよね。

鈴木:そうだと思います。「地位」タイプはお金を稼げなかったときのダメージが大きいんです。だから目先の利益に飛びついて、幸福度が下がるんです。

お金持ちは「協調性」がない?

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目先の利益に飛びつくと幸福度が下がる(鈴木祐さん)

――motoさんは目先の利益に飛びつきそうになったことはないですか。

moto:ありましたね。お金絡みではありませんが、新卒で就活した時には「やっぱ大手企業がいいよな」って思って、大手だけを受けていました。

 でも、どの会社も総合職採用しかなくて。4月に入社するまでどの部署になるか分からないし、どこに赴任するかも分からない。3年後に何をしているかなんて想像もつかない。

 僕は自分の人生なのにキャリアをハンドリングできないことに違和感を覚えたので、あえて自分の働き方が想像できる地方のホームセンターを選んで入社しました。

鈴木:なるほどね。motoさんの書籍にはビジネスハック的なテクニックもたくさん書かれていますよね。小学生の頃から転売でお金を稼いだり、メールアドレスの法則に気づいて志望企業の社長のアドレスを特定したエピソードとか。

 あれって地頭が良いだけでなく、周りに合わせようとしないから考えつくんですよ。協調性がない。これも金持ちの傾向のひとつです。

moto:確かにそうかもしれません。僕の周りで年収が1億円を超える人は、いい意味で協調性がないかもしれません(笑)。

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