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ニトリ、業績絶好調でも中国で苦戦。アパレル進出の勝算は…?

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CSR活動は創業者の地元・北海道主体

ニトリ

小樽芸術村公式サイトトップ(https://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/)

 そして、ニトリHD特有のエピソードは、会長の似鳥昭雄氏が育った土地、北海道にまつわるものでしょう。ニトリHDが北海道発祥の企業であるのも、「地元で起業した」からです。

 そのため、ニトリHD及び似鳥会長個人のCSR活動(社会貢献活動)も北海道にまつわるものが中心になっています。直近のCSR活動の事例は、「2019年2月期 決算短信」にもまとめられています。

 まず、ニトリHDが運営する美術品・工芸品展示施設群の「小樽芸術村」にて、2018年11月に新たに教会のステンドグラスの名品が綴られた「ルイス・C・ティファニー ステンドグラスギャラリー」をグランドオープンしています。

 このギャラリーは似鳥美術館(旧北海道拓殖銀行小樽支店)の1階に新設されており、美術館の受付を抜けた直後の、一番目立つ位置に設置されているのです。小樽はガラス細工の町でもあり、地域の特性を生かした内容といえます。

 また、北海道も被害地域に含まれる「平成30年7月豪雨」では、復興支援の一環として被災地の方々へ自社製品マットレスを寄贈しました。

 さらに、2018年9月に発生した「平成30年北海道胆振東部地震」では札幌市街地を含む北海道全域が停電に見舞われる事態となりましたが、ニトリHDでは迅速な営業再開・商品供給体制の回復を実現し、地域住民の方々の早期生活復旧支援を行っています。

 また、「似鳥国際奨学財団 」は、似鳥氏が設立した公益財団法人です。国内外の大学生・高校生に給付型の奨学金制度を提供しています。給付条件には地域の制限は特にないのですが、2020年初頭に、同財団は北海道大学と提携して「北海道大学みらいIT人財奨学金」を創設しました。

 この奨学金制度は数理・データサイエンス分野に特化しており、「北海道の学際的地位の向上及び地方創生に貢献する意欲のある学生」かつ「大学院情報科学院または大学院工学院の修士課程1年次在学する者のうち、数理・データサイエンスに関わる研究に従事し、同大学院博士後期課程に進学予定の者」という、北海道への貢献を強く意識した条件になっています。

現場の声:店舗勤務期間が同業他社と比べて長い?

ニトリ

株式会社ニトリの口コミ(openworkより引用)

 各種口コミサイトは転職支援事業をビジネスにしており、各企業がクライアントにもなっている関係上、著しい悪評は公開されないようになっています。その制約を踏まえて、現場の声を確認していきます。

良い点:
・アメリカで実施される研修に参加し、チェーンストア理論を学べる機会がある
・自発的に考えられる社員にはチャンスが与えられやすい
・給与水準が高い(回答者の平均年収510万円)
・残業も少なめ(回答者の平均:16.7時間/月)

気になる点:
・同業他社と比べて店舗勤務の期間が長い
・クレーム対応の量が多い

 給与水準・残業については小売業としてはかなり良い水準です(小売業界の給与平均は383万円。もっとも、ニトリは小売だけでなくメーカーも兼ねていますが)。

 企業風土・キャリアパスについてはポジティブな意見とネガティブな意見が分かれています。自発的に考えて提案・行動できる人にとってはとても風通しがよく、評価やチャンスも与えてもらいやすいと感じる環境でしょう。

 ただ、それが難しい人にとっては「同じことを繰り返しさせられる、つぶしが効きにくい」環境だと感じてしまうかもしれません。

ニトリの「ホワイト/ブラック度」判定

ニトリ:★★★★☆

 製品の品質と価格の両立を実現し、「地方の有名企業」から全国区の企業に成長し、世界も視野に入れている企業です。

 直近は中国展開で苦戦していますが、この局面を乗り越えられれば引き続き大きく成長できる素地を持っているため、今後の進展を見守る必要があります。

 国内の現場では、手厚いクレーム対応などのストレスを感じている人もいるようですが、給与水準が比較的高いという声も。働くにあたって落としどころを見つけやすい企業です。

<TEXT/ブラック企業アラート(@blackc_alert)>

ブラック企業を生き抜いた歴戦のプロダクトマネージャーが、公開情報からホワイトorブラックを判定し、率直な理由とともにお伝えします。
Twitter:@blackc_alert
note:ブラック企業アラート

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