営業先はヤクザの事務所。憧れの「コンサル仕事」は超ブラックだった
特別な理由でもない限り、ブラック企業では働きたくないものです。それでも働かざるをえない人が後を絶たないのは、ブラック企業が内情を隠したまま人材を確保していることも一因のようです。
今回お話を聞いた村井康太さん(仮名・35歳)も、新卒で入社した会社で何をやるのか知らないまま内定をもらったそうです。
ろくに引き継ぎもしないまま実戦投入
「聞いていたのは、情報通信のコンサルをやるということぐらいでした。ちゃんと調べればよかったと思いますが、『コンサルってなんとなくカッコいいな』っていうイメージだけが先走っていたんです」
最先端のIT技術を駆使して、困っている企業の問題を解決する。康太さんはそんな業務内容をイメージしていましたが、新人研修の時点で「間違った想定をしていたことに気づいた」と言います。
「スマートな業務内容をイメージしていたんですが、声出しの訓練をやらされたり、根性論をやたら叩き込まれたりしているうちに、だんだんと『あれ?』と思うようになりました」
そして、商品知識の面では、コピー機とビジネスフォンのことばかり教えられることに。
「そんなもん、居酒屋じゃ使わねえよ!」
「もっと広範囲のIT機器を扱うことをイメージしていたので、そのことにも違和感を覚えました」
2週間ほどの研修を終えて、ほとんどの新入社員は新規開拓営業の部署にまとめて配属されました。そして……。
「OJTもないまま、簡単な資料だけ持たされて、コピー機を売ってこいと言われました」
訳がわからないまま、村井さんが最初に飛び込んだのは……居酒屋でした。
「震えながら、コピー機を新しくするメリットを説明したんですが、仕込みをしている大将に『そんなもん、居酒屋じゃ使わねえよ!』って怒鳴られました」