上司がタイムカードを改ざん。ブラック介護施設からの転職を支えた“意外な恩人”
新卒でブラックIT企業に入社してしまった、おまけに転職したのに次もブラック企業だった。そんな負の連鎖を経験したのが、介護業界で働いていた野口正義さん(仮名・26歳)。
一緒にチームを組むことになった上司の男性と力を合わせて、野口さんはブラック企業から抜け出す決意をしたそうです。ひょんなことから奇妙な“友情”を結んだ二人の話を追ってみました。
上司がタイムカードを勝手に管理
大学卒業後、SEとして入社した会社で、毎晩のようにサービス残業させられていたという野口さん。
「最初に入社したIT企業は、終電まで残業しても、上司の命令で19時や20時で退社していることになっていました。タイムカードを主任が代わりに押すので、彼の思いのまま、長時間こきつかわれていました」
明らかに労働基準法違反。そんな会社である出来事が起こり、野口さんはとうとう愛想をつかします。
「システム構築をウリにしていた会社ですが、社長が血迷ったのか、コンサートのチケット販売業務のWeb事業の案件を取ってきたんです。チケット受付は膨大なデータを管理する必要があるため、人手不足のなかデスマーチになることは確実。もう地獄でした」
休日出勤も命じられたため、野口さんは退社を決意。求人サイトから転職先を探すことにしたそうです。
ストレスのせいで胃潰瘍に
「ところが、激務から解放された途端、ほっとしたせいかストレス性の胃炎で緊急入院してしまったんです。幸い手術には至りませんでしたが、入院するのは初めての経験。知らないことばかりでしたが、そこで手厚く看護をしてもらったことをきっかけに医療関係に興味を持ったんです」
退院してから、野口さんは医療関係の仕事を探します。とはいえ、医者はもちろん、看護師や技師など医療の資格は取得に年数がかかり、経済的にも難しいなどハードルが高いです。
「そこで、医療とは違うけど、似ている気がした介護業界で働こうと思ったんです。介護職員初任者研修の資格を取りました。最短1か月で取得でき、費用も6万円台とリーズナブル。人手不足の業界なので、転職先も資格取得してから、すぐに決まりました」
ところが、そこもヒドいブラック企業だったのです。