YouTubeでテレビ出演して「楽勝だな」と勘違い

――その動画（Mr.Children桜井和寿さんとサザンオールスターズ桑田佳祐さんの「奇跡の地球」を一人二役で演じるものまね）の再生数が2万回を突破したそうですね。

Mr.シャチホコ：軽い気持ちで投稿したから驚きました。それがきっかけでテレビ局の方に声をかけていただいて、ものまね番組にも出場できるようにもなって。ただ、学生だったこともあって「こんな動画1本上げただけでテレビ出れるんや。楽勝だな」ぐらいに勘違いしちゃったんです。

　ちょうど教育実習の期間と被ってたんですけど、プロになると思ってるからなにも考えずに番組出るほうを選びましたし。ただ、それが地獄のはじまり（苦笑）。ものまねの方々の苦労とか、ネタのつくり方もわからないまま「似とりゃええんやろ」みたいな甘い考えでスタートしちゃったんです。

――まだYouTubeがここまで普及する前だったと思いますが、動画投稿は続けなかった？

Mr.シャチホコ：大学を卒業して、事務所にあずかってもらえるようになってから、動画は非公開にしました。当時、ニコニコ動画も人気があったと思うんですけど、会員登録したりするのが面倒だなと。その頃はまだ「YouTuberで食べていく」なんて時代ではなかったですけど、結果的に今っぽい感じでこの世界に入りましたね。

ものまねオーディションで不合格に

――事務所に所属される前、「そっくり館キサラ」のオーディションを受けて2度不合格になったそうですが。

Mr.シャチホコ：なんの考えもなく、私服のニット帽姿で現場に行って直立不動で歌ったんですよ。そしたら、「声はそっくりで似てるけど、見た目とかで笑える感じがない。ステージングをちゃんと覚えなさい」とアドバイスされて。その日を境に、ものまねする方のイメージに合ったメイクとか衣装を選ぶようになりました。

――プロになる足がかりとして、音響のアルバイトもされていたとか。

Mr.シャチホコ：いろんなものまね芸人さんを見てみたいと思ったんです。たとえば営業先のセニョール玉置さんとか、坂本冬休みさんとか見ると、30分ですごくいいステージをされるんですよ。

　僕が駆け出しの頃は、「テレビでブレイクしたからお客さんが盛り上がる」っていう考えが強かった。でも、お二人はそれまで見たこともなかったのにすごく面白くて。その場の話術で自分のペースに持っていって、お客さんの心をつかむんですよね。