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ZOZO買収とPayPayでEC市場に挑む、ヤフーの勝算

ビジネス

PayPay経済圏への布石

 Yahoo!は、社名変更と同じ10月1日にプライバシーポリシーを改定したばかり。これによりソフトバンクやPayPay、一休などのグループ会社とのデータ連携・活用を進めていて、会員のディープデータ分析に基づくデジタルマーケティング支援で広告売上収益アップを図ります。

 そう、ZHDによるZOZO買収は、EC事業強化にとどまらないのです。親会社であるソフトバンクの通信事業網をインフラに、傘下のPayPayやZOZOTOWN、一休.com、GYAO、ジャパンネット銀行といったBtoCサービスを取り込んだトータルなエコシステム構築が、目指す姿と考えられます。アパレルや旅行、飲食、動画配信などの購買と決済、金融等で生じる顧客データの全てを統合できれば、出店者をはじめとする法人顧客向けのサービスもぐっと精度が向上しそうです。

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図表7 ソフトバンクとのシナジー強化(2019年8月2日ヤフー株式会社2019年度第1四半期決算説明会資料より)

 新たな経済圏のキーブランドは、Yahoo!からPayPayにシフトするという見方もあります。ヤフーからZHDへの社名変更は、「YからZへ」すなわち「オンラインからオフラインとの融合」を目指す意向と公表されていますが、今秋リリースの新事業はいずれもPayPayブランド。

 本家米国では経営統合によりそもそもすでに姿を消した「Yahoo!」ブランドのライセンス費用は売上の3%といわれ、けっこうな負担です。日本ではまだまだブランド力があるとはいえ、「100億円あげちゃう!」などの各種キャンペーンをトリガーにあらゆる世代へ一気に浸透した「PayPay」というキャッシュレスブランドを前面に出した方が、EC事業との親和性は高いかもしれません。とくにYahoo!をECではなくメディアと捉えていそうなZOZOTOWNユーザー層には、より身近な印象です。

PayPayで取り戻せるか、ZHDユーザーのロイヤリティ

 実際、PayPay浸透に伴い、ZHDグループシナジーは向上しているように見えます。

 直近半年だと、Yahoo!ショッピングユーザーの56%がPayPayを併用。今年6月からPayPayがYahoo!ショッピングとヤフオクに対応した成果と見られます。ヤフオクやYahoo!トラベルのユーザーもPayPayを併用しています。

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図表8 ZHDグループ主要サービスの併用状況(スマートフォン、2019年4-9月。Yahoo!トラベルと一休.comはサイト、ほかはアプリ。赤は各サービスの最多併用サービス)

 半年前の併用状況と比べると、いずれのサービスもPayPay併用の増加が顕著。店舗決済というオフラインチャネルから入ってオンラインの世界へも浸透するPayPayの強さが伺えます。ほかにYahoo!ショッピング併用はヤフオクユーザーが半年前41%から52%、PayPayユーザーが17%から44%など大幅に増加し、全体に「併用なし」のユーザー減に成功しています。

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図表9 ZHDグループ主要サービスの併用状況(スマートフォン、2018年10-2019年3月。Yahoo!トラベルと一休.comはサイト、ほかはアプリ。赤は各サービスの最多併用サービス)

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