今の生活に満足。婚活にも本気になれず

　沙織さんの周りの女友達も、33歳前後になったころ、出産を念頭に婚活を始めだしたと言います。沙織さんも、周りの空気に流されるまま、教えてもらったマッチングアプリや、結婚相談所への相談などを行ったそうです。

　しかし、沙織さんは本気で交際する相手を探そうという気分にはなれませんでした。

「休みの日は友達と山登りをしたり、お酒を飲みに行ったりしていて、今の生活に何も不自由していないんです。彼氏がいなくても、さみしくないし、実は性欲もあまりないんです……。このまま、おひとり様でも構わないと最近思ってきました」。

恋愛に興味がない私はアセクシュアル？

　彼氏がいなくても、充実した日々を過ごしていた沙織さん。そんな時、他人に対して恋愛感情が湧かない“アセクシュアル”という言葉を耳にします。

「人と比べて、セックスや恋愛に対して夢中になれずにいて、『自分はおかしいのかな』って不安を感じていたんです。でも、恋愛に淡泊なのは、もしかしたらアセクシュアルなのかもしれないと思ったら、気が楽になりました」

　つねに笑顔で、人当たりの良い沙織さん。本人がその気になれば、彼氏は作れそうですが……。

「パートナーができると自由がなくなるし、しばらくは恋愛からも離れていたいんです。親からの『いつ結婚するの？』攻撃は、適当にかわしています」

　と苦笑いを見せました。本人に自覚がないだけで、アセクシュアルの傾向がある人は意外と多いのかもしれませんね。

― 特集・AK男子・AK女子の言い分 ―

＜取材・文／池守りぜね　イラスト／小池祐子（@ikeko322）＞