過酷な不動産業界を20代はどうサバイブすべきか?「#全宅ツイ」に聞く
最初の上司があなたの親鳥となる
社会人にとって最初の上司の重要性を、こちらも全宅ツイのデベ夫人(@deve_bot)は次のように説明します。
16時飲酒倶楽部なう。
— デベ夫人(β) (@deve_bot) 2018年4月20日
「他社の新人教育のことはよくわかりませんが、全宅ツイには『新卒で初めてみた不動産会社社長が貴方の生涯の不動産親鳥』という格言があります。
この格言から学ぶべきは、社長でなくとも初めての上司があなたの不動産人生に多大なる影響を与えるのは間違いないということ。たとえ嫌いな上司であっても、いつの間にかあなたは無意識にそのスタイルを踏襲していると思って差し支えないでしょう」
親鳥によるインプリンティング(刷り込み)はかなり強烈なものだといいます。では、もし上司ガチャでハズレを引いてしまったらどうれば良いのでしょうか。
全宅ツイのグル氏は、
「その場合、3年くらいはどれだけムカつくor無能な上司でも面従腹背で耐えましょう。新卒入社直後の時点で、業界他社へ飛び出して生きていけるだけの実力を、若手社員は蓄えていません。上司と刺し違えても他社で生きていける力をつけてから刺すのです。また転職後も、元同僚たちとの人脈は非常に大きな力になることも指摘しておきます」
倒産を恐れない個人力を身につけよ
さまざまな事業領域で活躍する不動産パーソンから、若手社員のキャリア形成についてお伺いしてきました。
実は、デベ夫人をのぞく全員が、会社の倒産を経験しており、不本意な形で転職・独立を余儀なくされた経歴の持ち主です。そんな経験を踏まえた妙にリアルなアドバイスも聞いてみました。
「新卒で入った会社が潰れかけたとき、『このまま不動産業界に残ってもいいのか』と、けっこう真剣に考えました。しかし、なんだかんだ言って、仕事が面白かったので足を洗うタイミングを逸しました。相変わらず仕事は面白いので選択としては間違ってなかったと思います。もう会社ないですけど」(コンドル君)
「レジ・ビル・ホテルなどの土地の仕入れができる、お金に余裕のある企業で若いうちから仕事を学べれば、不動産の力がつき、会社の倒産にビビることなく伸び伸び仕事ができると思います。僕が新卒で入った会社も、もうないですけど」(匿名会員S氏)
「会社の行く末が決定的になったら、とにかく物件を売らないで握りしめましょう。沈みゆくタイミングでそれら物件が債権者の人質となって会社にとって大きな意味をなします。
なお資金繰りが怪しい間は社内の物件を友人の会社を経由してクソ安値で売らせましょう。あなたが大きな信頼を得ていれば、資金繰りに詰まったボードメンバーの意思決定を誘導するのは赤子の手をひねるより容易です。と、先輩が言ってました」(あくのふどうさん)
「ストックオプションを付与されたら、上司や同僚の目は一切気にせず必ず全額すぐに行使しましょう。私の友人は、ストックオプションにヒャッハーしていたら翌年、会社が潰れて数百万円が紙くずになったとキャバクラで号泣してました。会社がいつ潰れるかは銀行でも、株式マーケットでもなく、ましてや社長や上司が決めることでもありません。じゃあ誰があなたの会社を潰すのか? 天だ」(新宿シュガーレス)
かつては辛酸を舐めた人生の先輩たちからのアドバイス。たとえ業界は違っても悩める20代に参考となる部分があるのでは。
<取材・文/栗林篤>
【コンドル君】@condor_kun
30代、恐妻家「吹けば飛ぶような零細企業で、投資家から引っ張ったお金でクソ物件を仕入れて上がるか下がるかの丁半博打をやっています」
【新宿シュガーレス】@Sugarless_kid
30代。「主に信託受益権(※)を扱っています」
※信託銀行等の信頼できる受託者に不動産を移転(信託)することで、そこから発生する賃料収入を受け取る権利のこと。
【デベ夫人】@deve_bot
後厄。「ディベロッパーで働いております。戦後~高度経済成長期に建てられた古い旧耐震の建物を束ね、新しくキレイなビルに建替えてステキな東京の夜景を創出する簡単なお仕事です。このお仕事、業界内では『市街地再開発』『権利調整』といったキラキラネームで語られてますのに、世間一般には『立退き屋』と認識されているようです。地権者様のボロボロになった建物をピカピカにして、さらに補償費までたんまりお渡しする社会貢献度の高い仕事なのに、ひどい誤解だと思いませんこと?」
※中の人の諸事情によりツイッターアカウントはbot運用中
【匿名会員S氏】
30代、独身。「少人数の和やかな会社で、不動産のソリューション事業を行っています。土地や建物に関わる権利関係の問題を解決し、隣接地との共同事業による規模の利益や容積の有効活用による不動産価値の最大化を図り、地域や社会、地権者に貢献する仕事を通じて“ありがとう”を集めています。また、自社のためではなく、第三者の為に売買契約を締結し、第三者の為に不動産をお譲りしたりもしています。ほかには、おじさんたちのストレス発散の捌け口としてサンドバッグになるのも大切な仕事です」
【あくのふどうさん】@yellowsheep
アラフィフ。「新興市場のカタカナ企業で働いてました。中古ビルを買って何にも手を入れずそのまま投資家に転売したり、(株式の)第三者割当を引き受けて輪転機をフル回転させたり、買収した会社から不動産を剥ぎ取る山賊業に従事していました……その会社、もうないけどな」。ちなみに現在のお仕事は「現在は曖昧な雑居ビルの一室で、金融機関担当者の靴をせっせと磨いて借りた大切なお金を使って、隣地のおばあちゃんのほっぺを叩いて敷地を広げる賤業に従事しています」