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中国で自動運転が進んでいるワケとは?慎重な日本より先行する背景

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中国で自動運転が進んでいるワケとは?慎重な日本より先行する背景

近年、自動運転技術は急速に進化しており、世界各国でその実用化が進められています。中国は積極的な規制緩和と商用化を推進している一方、日本は慎重な法整備を進めながら技術の発展を図っています。この記事では、中国と日本の自動運転の現状と違いについて解説します。

知っておきたい6段階の自動運転レベル

そもそも自動運転にはレベルがあることをご存じでしょうか?

自動運転技術は、運転の自動化の度合いに応じて SAE(米国自動車技術会) によって0〜5の6段階に分類されています。

レベル0(運転支援なし):すべての運転操作をドライバーが実施
レベル1(運転支援):加減速またはハンドル操作のいずれかを支援
レベル2(部分自動運転):加減速+ハンドル操作を同時に支援するが、ドライバーが監視
レベル3(条件付き自動運転):特定条件下ではシステムが運転。必要時にドライバーが対応
レベル4(高度自動運転):限定されたエリア内で完全無人運転が可能
レベル5(完全自動運転):すべての環境で自動運転が可能。ハンドルやペダルが不要

現在、世界各国ではレベル4の実用化が進められており、レベル5はまだ研究開発段階にあります。

日本の自動運転の現状

日本の自動運転技術は、慎重な法整備のもとで徐々に進展しています。特に、2023年4月の改正道路交通法の施行により、レベル4の自動運転が限定された条件下で認められました。

レベル3の事例として、ホンダの「レジェンド」が2021年に世界初のレベル3車両として販売されましたが、台数は限定されています。

レベル4の事例として、2023年5月に国内初のレベル4運行が開始。運行地域としては、福井県永平寺町(自動運転バスの運行)、茨城県日立市(BRT路線の営業運行)、東京都大田区(市街地での実証実験)などが挙げられます。

トヨタ、ホンダ、日産が開発を進めていますが、一般道での完全無人運転はまだ実現していません。日本の規制は慎重であり、技術開発と同時に安全基準の整備が求められています。

中国の自動運転の現状

小馬智行(Pony.ai) の自動運転タクシー
小馬智行(Pony.ai) の自動運転タクシー

中国は、世界最先端の自動運転技術を商用化 しつつある国のひとつです。特に百度(Baidu) や 小馬智行(Pony.ai) などの企業が主導し、北京市や広州市、深圳市などの主要都市で無人運転タクシー(ロボタクシー)の商用運行が進んでいます。

中国が先行する背景には以下の点が大きく影響しています。

1. 政府の積極的な支援:規制緩和と補助金制度により企業が参入しやすい
2. 都市インフラの最適化:新興都市が多く、自動運転向けのインフラ整備が容易
3. 社会的受容度が高い:自動運転への期待が高く、試験運用への市民の協力が得られやすい

中国政府は、法整備とインフラ整備を並行して進めており、規制緩和により早期の商用化が可能となっています。一方、日本は慎重な法整備と技術開発を進めながら、今後の普及を目指しています。

次回は、深圳で筆者が実際に自動運転タクシーに乗ってみた様子をレポートします。

奄美大島出身。大阪府在住のライター。 タイと中国の日本人学校に教員として通算8年間勤務。 帰国後、フリーのライターへ。 補習校講師として、オンラインで国語を教えています。

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