<漫画>推しのアイドルの肌が荒れた。当事者にしか描けない漫画とは
「くらげバンチ」での連載作品を集めた初の単行本『推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~』が発売中のもぐこんさん(@mogra16)。
教師と生徒の切ない関係を描いた収録作「裸のマオ」は、「くらげバンチ」史上最速で10万PVを突破し、さらに推しの絵がバズった女子高生・マユと、その絵をきっかけに売れていくアトピーのアイドル・真鈴ちゃんの交差する人生が描かれた表題作「推しの肌が荒れた」は、SNSでも話題を呼びました。
マジョリティではない人々に焦点を当てたストーリーや、独特のタッチはどのように生まれたのか、本人に聞きました。
【インタビュー後編】⇒〈<漫画>教師と生徒の切ない“裸の関係”。数十年かけた漫画が生まれたワケ〉を読む
【マンガ】⇒『推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~』「推しの肌が荒れた」の第1話を読む
【マンガ】⇒『推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~』「裸のマオ」を読む
漫画がバズって「ただただホッとした」
――「推しの肌が荒れた」がSNSで「バズった」ときは、どのように感じましたか。
もぐこん:ただただホッとしました。この作品は全3話なのですが、1話目がぜんぜんバズらなくて「ヤバい、これじゃ本が売れないぞ」と思っていたんです。もともと2話の内容が勝負だと思って描いていましたが、狙ってバズれるものでもないから超不安でしたね。運良く2話がびっくりするくらいバズったので安心しました。
――過去にも作品が話題になっていますよね。
もぐこん:単行本に収録されている「裸のマオ」や「あつい皮膚」がバズったときも、ずっとドキドキしてスマホを手放せませんでした。そのときの気持ちを元にマユを描いたので、それがまたバズって嬉しい反面、現実と漫画の内容がシンクロしているみたいで「ちょっとこわいな」とも思いましたね。
肌荒れも自分の経験を元に描いた
――話題になった2話には「肌荒れ」の描写がありますが、こちらもご自身の経験が元になっているんでしょうか?
もぐこん:はい。僕自身もアトピーなので、自分の記憶をたよりに描いています。完治したわけではないのですが、治療は高校生くらいの時にやめてしまいました。最近の薬事情とかには詳しくないですが、もともと医療漫画を描くつもりはなかったので、それはそれでよかったかなと思います。
――当事者だからこそ描けることもありましたか?
もぐこん:アトピーって、ただただツラいんです。ひたすらかゆいし、肌が荒れているというだけで冷たい視線を投げかけられたり、当事者同士でも自分と比べるような目で見てしまうこともあったりします。
これは「あつい皮膚」にも描いていますが、大きくなると周囲から「かかなきゃ治るのに、意志が弱いから治らないんでしょ」みたいに思われることもあるんです。直接言われなくても、そういう空気を感じている人は多いと思います。