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レトルトタイカレーの老舗が歩んだ20年「鯛のカレーと勘違いされた事も」

ビジネス

 レトルトカレーを手掛けるメーカーは数多くありますが、タイカレーをメインに扱うオンリーワンな食品メーカーといえばヤマモリ。今では多くのスーパーでも見かけるようになったグリーン・レッド・イエローといったタイカレーのレトルトはカレー好きなら一度は食べたことがあるのではないでしょうか。

ヤマモリ

ヤマモリのグリーンカレー

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 老舗食品メーカーが、どうしてピンポイントで当時馴染みのなかったタイカレーを作るようになったのか、気になるところです。今回は、ヤマモリ株式会社 商品企画開発部の弓矢健大さんと塚原保子さんに誕生のきっかけや、日本の食卓の変化について聞いてみました。

手軽に買えるタイ料理商品がなかった

――ヤマモリはもともとタイカレーを扱う会社ではなかったそうですね。

弓矢健大(以下、弓矢):創業は明治22年(1889年)。もともとは三重県桑名市でお醬油の製造販売をやっていた会社で、戦後に醤油を使った「めんつゆ」などに事業を拡げていきました。

 レトルト食品にも早くから携わっていまして、大塚食品さんのボンカレーが日本初のレトルト食品として発売されましたが、その半年後には弊社もレトルトの「釜めしの素」を発売しているんですね。つまり、レトルト食品を手掛けたのは業界で2番目になります。

――醤油や釜めしの素のメーカーがなぜタイカレーを扱うことになったのでしょうか。

弓矢:実は全然別の仕事から始まっていまして、1988年に合弁会社でタイに缶詰工場を立ち上げることになったんですね。そこからタイに日本の調味料を販売するビジネスを手掛けようということで1995年に販売会社をバンコクに設立してタイに日本食を広める活動が始まったんです。

 今の社長がタイに行くうちに、日本のスーパーには手軽に買えるタイ料理商品がないなと考えるようになりまして、だったら自分たちで作ろうと2000年のタイカレーレトルトの発売に至りました。

開発チームは相当苦労をした

ヤマモリ

商品企画開発部の弓矢健大さんと塚原保子さん

――作ろうということは発売当初から自分たちで製造されていたのですか! 売れるかわからないのでまずは既製品を輸入する方法もあったと思うのですが。

弓矢:「モノ作りにこだわっている会社」という自負もあり、どうせやるんだったら納得する品質のものを手掛けようということで、最初から自社で作ることになったんです。当時の開発チームは相当苦労をしたようですね。

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