トランプ中間選挙の下院敗北と、国境「麻薬カルテル」の闇
トランプ大統領、「国境の壁」建設は意味なし?
ドラッグ、銃、カルテルに搾取される不法移民、そして、これら犯罪から派生する暴力や汚職……。
こういった要素を考えると、トランプ大統領が国境に壁を建設するという話もそう悪くないように聞こえるでしょう。だからこそ彼を支持するアメリカ国民も多いのですが、この”壁発言”が世界中からバッシングを受けているはなぜなのか?
「ロサンゼルス・タイムズ紙」(2017年9月29日)によると、壁を建設する以前に施行すべき政策が5つあると言います。1つ目に、銃の生産や売買を厳重に取り締まり、メキシコへの銃密売を防ぐこと。
2つ目に、ドラッグの需要そのものを低下させる国内政策を打ち立てること。
メキシコからのドラッグの密輸入を水際で防ぐのも大切ですが、同時に、アメリカ人がドラッグを買わないようになることのほうが重要です。そもそも、中米からの不法移民はその多くが麻薬カルテルに苦しめられていることが原因なのです。
カルテルは元締め料などを個人商店主から搾取し、暴力で住民たちを牛耳っているのだとか。
一定期間の労働ビザを発給、違法企業の取り締まり強化
3つ目に、不法移民を捕まえることにコストをかけるのではなく、一定期間の労働ビザを発給すること。
不法にアメリカに入国した移民はアメリカから出国すると2度と入国できないので、その結果、不法滞在者が増えてしまう……移民の出入国を合法にしたほうが不法滞在者の数を減らすことができるのです。
4つ目に、不法移民よりも、不法滞在者を雇用する企業を取り締まること。需要のないところに供給はないからです。
5つ目に、イラクやアフガニスタンよりもメキシコへの経済援助を増やすこと。経済援助によってメキシコ国内で雇用が拡大すればアメリカに密入国する移民も減るでしょう。
また、壁を建設し、不法移民の侵入を防いだとしても、入国できなかった移民たちがたどる運命も気がかりです。