『13歳のハローワーク』の呪縛は今日も会社員を苦しめる――人気コラムニストの「仕事論」
仕事の面白さは「やってみないとわからない」
――職場に好きな子がいたら、それは頑張れるでしょうね。
小田嶋:例えばネジの頭を揃えるみたいな単純作業でも、10年もやっていれば独自のパターンが出てきたりして、達成感や面白みが生まれるかもしれない。でも、それは後付けの発見であって、最初から用意されているものではないし、まして、経験のない人間が就活段階で目指すことのできる境地でもない。
あくまでも、仕事をやっていくなかで、その仕事に自分なりの面白さを見出していく過程に過ぎない。そういう意味で仕事の面白さって、結局はやってみないとわからないものだと思う。
――やりがいは後付け、ってことですね。
小田嶋:ライターとしてのやりがいだって、私自身ライターになってから知ったことのほうが多い。ライターを目指してなった人は、もしかしたら幻想を持ちすぎてるおかげで、かえって失望したかもしれない。
私はなりたくてなったわけじゃなくて、流れ着いてここにいる人間だから。ライターってこうなのかって、やり始めてから知る部分がたくさんありました。
<取材・文/西谷格 撮影/詠祐真>