「雑談が苦手です」20代男子の悩みに東大中退ラッパーが答える
東京大学中退という異色な経歴を持ちながら、明晰な頭脳を生かしマルチに活躍するラッパー・ダースレイダー(41歳)が、20代若人の切なる人生相談に答えます。
8年前に脳梗塞で左眼の視力を失い「片目のおじき」と呼ばれる彼。昨年は「余命が5年」であると告白し、日本のヒップホップ界に衝撃を与えました。
今回、そんなダースレイダーに寄せられたのは「雑談が苦手」という20代男性からの相談です。
Q.雑談が苦手です
■26歳・男性・営業■
「私は雑談が苦手です。自分のトークで聞き手を惹きつけ、笑わせることがなかなかできません。たまに笑ってもらえることもあるのですが、できるならばフリとオチを意識したり、ユーモアのある言葉を用いた話をして人を引き込みたいです。
面白いに限らず、ダースさんは話で人を惹きつけるために心掛けることはありますか? また私生活でも色々なトークのネタを手に入れるために常にアンテナ張るなど意識して過ごされていますか?」
A.その場のグルーヴを掴むことから始めよう
ダースレイダー:僕もテレビに出たりはしているけど、実は喋ることってあまり得意だとは思っていなくて。ユーモラスなウィットに富んだフランス人の食後の会話みたいなのに憧れるっていうのはあるよね(笑)。
人間がもっとも情熱的に喋れるときって、やっぱり自分が好きなことを喋ってるときだと思うんだよね。オタク気質の人が、自分のことだけを楽しそうに喋ってるのを、否定的に言う人もいるんだけど、その人自身が強い思い入れのあることについて喋ってるときっていうのは、感染力が高いっていうのか、あぁこの人本当に好きなんだなーって、心に響くよね。
じゃあいきなり鉄道の話とか、水球の話を急に始めたりとかしても、それは周りの人にとってまったく興味のないってことが、往々にしてマニアックな人ほどあることなんだけど(笑)。
でもさ、その本当に好きな気持ちっていうこと自体が、会話を豊かにすると思うんだよね。無理してネタを探す、なんか面白い小ネタを見つけなきゃって思ってること自体、その話に対して思い入れがないっていうか……。まあ、テクニックとして、うわべの会話の行き来としては使えるのかもしれないけど。
やっぱり、本当にこの話がしたいんだよっていう気持ちがあれば、人は聞いてくれると思う。本当に好きなことの話であれば失敗談とか、成功談とかいろいろあると思うから、失敗談とかで笑いを誘うってこともできちゃうしね。
ただ、自分が笑われるのが嫌だとか、ある種テクニカルに相手の感情を操作したいっていうこと考えてやると、それ自体が透けて見えたりするから、そういうのがあるとシラケるけどね。