<第4回>紙幣の誕生、そして貨幣の創世記(Genesis)が始まった!――『貨幣論』と『トイ・ストーリー』を混ぜてみた
「光り輝く金」を持ち運びやすくするには?
しかし、金が玉座にずっといると、不便なことも出てきました。
お茶「金にもよくないところがありますよ」
金「何だと!?」
お茶「気軽に持ち運ぶことができません。いちいち重さを測るのも面倒です」
金「ふむ……じゃあ、こうすればいいじゃないか」
金はナイフを取り出して、刃を自分に向けました。
金「うっ……ぐっ……!」
ナイフでゆっくりと身体を削り取ったのです。
お茶「何をする!?」
金「こうやって1グラムずつに切り崩したら重さを測る必要はない。持ち運びも簡単だ」
お茶「その通りだ! おい、もっとくれ!」
金「これを『金貨』と名付けよう。画期的だろう!」
金は身体を小分けにし、持ち運びしやすくしました。それは商品世界を駆け巡り、価値の基準としての地位を絶対にしました。
いつか金はなくなるかもしれない……
金貨が誕生してからしばらくしてのこと。金が足りなくなったら、「穴」から金を取ってきては、金貨にしていました。しかし、これではいつ金が枯渇するかわかりません。
上着「しかし、これじゃ金が足りなくなるぞ」
お茶「どれだけ採掘できるかもわからない」
コーヒー「それなら簡単だよ。金の代わりになるものを、金として使えばいいのさ」
そう言ってコーヒーは、銀の塊を取り出して削り取りました。
コーヒー「銀ならもっとたくさん採れる。銅ならもっとたくさんだ!」
上着「いや、それよりも簡単なものがある」
お茶「石とか? しかし、石はぴかぴかに輝いていないよ」
上着「別に輝いてなくてもいいさ」
お茶「輝いていなくてもいい!?」
上着「紙だったらいくらでも調節ができる。紙にすればいい」
お茶「紙を金の代わりにする!?」
上着は紙切れに「1」と書きました。
上着「これを金1グラムの代わりにしたらいい。名前は……『紙幣』だな」
そう言って高笑いをしました。上着だけじゃなく、同じことは誰もが考えていました。紙幣への移行は時間の問題だったのです。
紙幣「わたしの名前は紙幣。いくらでも刷れるわたしを貨幣にしなさい」