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コロナで会員3倍「宅麺.com」代表に聞く、有名ラーメン店を巻き込む野望

ビジネス

夜中の2時から交渉を行う

――まるで記者のような手口ですね(笑)。

井上:そうかもしれません(笑)。ストップウォッチを持参して「5分だけお話させてください」とお願いして、本当に5分が経過したら、約束通り帰る。そういったことを何度も繰り返すうちに、少しずつ信用していただいて。

 吉村家さんは宅麺.comではお取り扱いしていないのですが、JAPAN BEST RAMEN AWARDSに参加してもらうために、野間口が何度もお願いにうかがいました。夜中の2時くらいから仕込みを始められるので、その時間帯におうかがいするなど、まさに夜討ち朝駆けでした。

行列店のラーメンはハードルが高い?

スタ満そば

総合大賞に輝いた「元祖スタミナ満点らーめん」すず鬼」のスタ満そば

――心からのリスペクトがないとできないことです。創業時からラーメンへの強い思いがあったのですか。

井上:ラーメンは日本が誇る最強コンテンツであり、文化だと思います。しかし、正直に言えば、皮算用で始めた部分もありました。数多くの求人情報が集まっているリクナビやインディードのように、複数のラーメン店の商品が購入できるサイトを立ち上げれば、事業として成り立つのではないかと思ったんです。

 でも、創業のきっかけは妻なんですよ。普段は家事で忙しい妻に、とある有名店で持ち帰り用に販売している冷凍ラーメンをお土産に買って帰ったら、めちゃくちゃ喜んだんです。そのときに、お店のラーメンを自宅で食べたいという需要は必ずあるはずだと確信しました。

 実際のところ、家庭に入っている女性にとって、お店のラーメン、特に行列ができるような有名店のラーメンはめったに食べられないものであることが多いんですよね。小さい子供を連れて、ゆっくり食べられないですから。男性でもプレッシャーがあるじゃないですか。外に大勢並んでいるし、早く食べきらなくちゃって焦ることが(笑)。

 ラーメン店に並ばなくても自宅で本物を楽しめるという体験を提供し、それを日本のラーメン文化として根付かせる。それが達成できた時に、私たちが事業をやっている意味を感じることができると思っています。

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