借金してまで家賃を払った結果が…

　今度は、電気代や水道代の滞納も発覚します。Tさんは知り合いのところでバイトをしていた程度だったし、望月さんはアルバイトをはじめたばかりだったため、それ以上はどこからもお金を借りることができなかったのです。

「わずかな所持金は、1日1食のパンやおにぎりに消えていきました。そうこうしているうちに、電気が止まってしまったのです。でも、Tの後輩が懐中電灯やロウソクを買ってきてくれたこともあり、どうにか笑って過ごせました」

　停電や断水のお知らせを係の人が持って訪ねて来ることもありましたが、お金がないので出られません。本当に電気は止められるのだと思っているうちに、今度は突然、水が止まります。Tさんがトイレをしたあと水が出ず、汚物を流せないことで発覚したのです。

水が止まってトイレから悪臭が漂う

「ウォッシュレットや便座ヒーターなどが付いているトイレなら、電気が止まったときに流れなくなっていたかもしれません。でも、シンプルなトイレだったので突然だったのです。水がないと命に直結するから止められないと聞いたことがあったので、驚きました」

　すぐ近くに公園があったため、トイレは深夜でもそこを使うことになります。公園の周辺は夜、真っ暗。シン……と静まり返り、時々は公園内に人が寝ていることもありました。最初のうちはトイレについて来てくれていたTさんも、だんだんと面倒くさがるようになります。

「マンションのトイレからは汚物がものすごいニオイを放つようになるし、だんだんツラくなっていった感じです。マンションにあった掃除用ハイターや食器用洗剤などを上からかけたりもしましたが、そのうちドアを開けるのも恐怖になり、開けなくなりました」