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ノーベル賞受賞者は、東大・京大どちらが多い?3位は意外な大学が猛進中

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 では、一方の東大初のノーベル賞受賞者は誰だったか? それは川端康成氏です。

 受賞理由は「日本人の心の精髄を、すぐれた感受性をもって表現、世界の人々に深い感銘を与えたため」とされており、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であつた」で有名な『雪国』も、もちろん評価の対象作品になっています。

川端康成

川端康成

 1974年に平和賞を受賞した佐藤栄作元首相、1994年に文学賞を受賞した大江健三郎氏も東大出身と、理系中心の京大と比べて、受賞した部門が多岐にわたっているのが東大の特徴です。

名古屋大学卒業のノーベル賞受賞者は?

 ちなみに、この時期の風物詩となっている村上春樹さんの出身校は早稲田大学ですが、いまだ早稲田大学のノーベル賞の受賞はありません。

 一方で名古屋大学を卒業したノーベル賞受賞者は、2008年ノーベル物理学賞の小林誠さんと、益川英敏さんです。米国籍の南部陽一郎さんを含めた3人が、初めて1つの賞を受賞したときのことです。基本粒子に関する研究で、現代の素粒子物理学の基礎を築いた功績が認められました。

 また、このときから名古屋大学理学部は、ノーベル賞受賞者輩出学部として評判になり、未来の科学者を目指して多くの若者がこの学部を目指しています。

これからの若き学者のためにするべきことは…

 今回受賞した本庶さんは、記者会見の中で「基礎研究が応用につながることは決してまれではないと実証できた。サイエンスは未来への投資だ」と発言し、基礎研究の重要性を強調しました。

 また、ノーベル賞の賞金や研究成果で得たロイヤリティを活用して、若手研究者を支援する基金を設立する考えを明らかにしました。

「Times Higher Education」の「世界大学ランキング2019」によると、東京大学は史上最低ランキングの46位から42位にランクアップし、回復の兆しを見せています。京都大学も同様に74位から65位へ上昇しました(参照:「世界大学ランキング」)。

 同サイトのフィル・ベイティ編集長は「日本の大学の大半は依然として衰退、あるいは静止状態を維持しています」と慎重な見方を示し、「日本の大学が真の意味で競争力を強化するには、はるかに大きな投資と国際化の努力が必要」とコメントしています。

 日本人のノーベル賞の受賞は嬉しいニュースですが、それもこれまで続けてきた研究があったからこそ。次世代へのバトンを繋げるためには、現役の研究者への支援が不可欠です。

 今だからこそ、日本の知の在り方について考え直してみても良いのかもしれません。

<TEXT/湯浅肇>

写真をメインに数多くの時事ネタやマルチメディア関連の記事も執筆。常に斬新な切り口で情報発信を目指すアラサー男子

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