高橋克実、20代を毎日一緒に過ごした監督との初主演作「すべて言われた通りに」
現在、放送中のドラマ『帰らないおじさん』で、光石研さん、橋本じゅんさんとともに、なんともいえない、おじさんっぷりを見せている高橋克実さん(61)。映画では、初となる主演映画『向田理髪店』が公開中です。
還暦を過ぎての初主演映画のメガホンを取った森岡利行監督(『問題のない私たち』『女の子ものがたり』)は、高橋さんが20代の頃に入った劇団で苦楽を共にした仲。「一番仲が良かった」という当時のことや、20代のディレクターの姿に刺激を受けたという、高橋さんをバラエティでも人気にした雑学バラエティ『トリビアの泉』でのエピソードも聞きました。
ご縁に導かれて辿り着いた初主演映画
――60歳を超えての初主演映画です。
高橋克実(以下、高橋):僕は邦画が好きで、でも演劇でスタートして、縁があって今の事務所に入ってから、テレビドラマに出るようになっていったわけですが、映画はそれほど多くは出ていないんです。
今回、みなさん映画初主演って注目してくださるんですが、たぶん「映画に出たい、出たい」と息巻いていた20代のころだったら自分でも舞い上がってしまって、受け止め方が違っていたかもしれませんが、もう60歳を超えてますしね。これまでのご縁に導かれてここに辿り着いただけという感覚です。
すべて監督に言われた通りに
――原作は直木賞作家・奥田英朗さんの連作短編ですね。
高橋:原作ではいろいろな短いエピソードが連なっているのですが、その中の床屋さんの話をベースに、町に映画の撮影隊がやってくるというエピソードをつなげて、森岡監督なりの凝縮感が見事だなと思いましたね。
――ラストでの高橋さん演じる、主人公・向田康彦のアップの表情が素晴らしかったです。あれこそ主演ならではかと。
高橋:映画というのは、瞬きひとつでも全部演技になるわけですが、実はあのときは大きく動かないほうがいいなくらいのことしか考えてなかったんです。すべて監督に言われた通りにやってました。