競争激化でユーザー離れも…キリン氷結「21年売れ続ける秘密」を聞いた
缶チューハイで初めてウォッカを採用
飲みやすくするために採用したのが無味無臭のウォッカ。今でこそ缶チューハイで当たり前に使われているウォッカだが、初めて採用したのは「氷結」だった。
ただ、長年ビールを売ってきたキリンビールでは、缶チューハイの開発・製造に投資し、全社を挙げて販売していくことへの賛同はなかなか得られなかった。懐疑的な社内世論をひっくり返したのは、当時のマーケティング部長だった。
「プロジェクトメンバーが未開拓の市場を見つけ、ターゲットとした若年層に受け入れてもらえるものをつくるために試作を重ねていましたので、経営会議に試作品を持ち込んで試飲してもらい、味で納得してもらいました。味がよかったことから、先陣を切って未開拓の市場を切り開くことに可能性を感じ取ってもらえたようです」
大急ぎでダイヤカット缶を開発
初の缶チューハイだったこともあり、量産に当たっては品質試験をクリアするのに長い時間を要した。缶への充填時にフタがしっかり閉まるか、ガス圧によって缶が変形しないか、これまで使ったことがなかったストレート果汁を使って製造できるのか、といった検証に時間がかり、4月の発売予定が7月にずれ込んだほどだった。
「氷結」の缶といえばダイヤカット缶。発売当初から採用されている。
「『チューハイを変えるチューハイ』をキーフレーズにしていた『氷結』は、今までにない缶チューハイで市場拡大を目指したので、このようなコンセプトにピッタリな缶を開発中の資材から探したところ、ダイヤカット缶がふさわしいとなり、採用が決まりました」
ただ、採用が決まった時点では開発が完了しておらず、大急ぎで仕上げた。ダイヤカット缶はもともと、未来の新商品のために東洋製罐と共同開発を進めていたもので、「氷結」のためにつくられたものではなかったからだ。