ニオイからのSOS!憧れの先輩を「家庭の危機」から救った後輩の機転
絶対に首を縦に振らない先輩
「同じ頃、F先輩の目の下にクマができるようになりました。そのクマはだんだんと濃くなっていき、遅刻や仕事のミスも増えていったのです。『何かありました?』と何度も声をかけましたが、先輩は首を縦に振りません」
それでも、あきらかに様子がおかしい先輩をほおっておけず、田口さんはニオイについて調べます。そしてついに、先輩から漂うニオイがストレス性の可能性もあるということを突き止めたのです。そこで、ランチタイムに先輩を人気のない屋外に呼び出します。
「そこで、しつこいぐらいに事情を聞きました。すると、F先輩が突然泣き出して、そのあとは早かったです。旦那の話が次々と飛び出しました。夜は旦那が寝るまで起きていなければならないこと、家事も完璧を強いられ、いっしょにいるときは、ときかく蔑まれること」
離婚に向けて協議を始めることに
そして、「惨めに思われるのが嫌で誰にも相談できなかった」とも暴露したのです。田口さんは、ボイスレコーダーでの録音を提案。同僚たちにも協力を募り、少しでもF先輩が疲れないよう仕事をできるだけサポートしたと言います。
「ボイスレコーダーには『お前の仕事が遅いから残業になる。さっさと帰って来いよ。グズが』『俺が寝てから寝るという簡単なこともできないのか?』といった内容のほか、怒鳴り声や『低レベル』『俺の言うことを聞いておけばいい』といった言葉が並んでいました」
田口さんは、F先輩とボイスレコーダーを何度も聞いたうえでよく話し合い、ついに離婚に向けて弁護士を挟んで協議することになったのです。その後、離婚が成立。慰謝料の支払いも決定し、いまは新たな未来に向けて歩んでいるとのことでした。
<TEXT/夏川夏実 イラスト/デザイア恵利>
12