飛行ルートは誰がどうやって決めているのか?フライトごとに変わる秘密
飛行機ほど、好奇心をかき立てられる乗り物はない。何度も乗っていると、つい見過ごしがちになるが、一歩踏み込んで観察すると、飛行機が謎や不思議の宝庫だということに気づくだろう。あの大きな機体には、数々の疑問が詰め込まれているのである。
なぜ飛行機はいつも1万メートルの高さで飛んでいるのか? 出発時の燃料をあえて満タンにしない理由は? 飛行機にまつわる謎や不思議を網羅した『最新版 飛行機に乗るのがおもしろくなる本』(著・エアライン研究会)より、フライトごとに変わる飛行ルートは誰がどうやって決めているのか?などを紹介する。
乗客の生死を分ける「90秒ルール」
2007年8月、乗客乗員165人を乗せた中華航空機が、那覇空港に着陸したとたん爆発、炎上するという事故が起きた。危機一髪の脱出劇は当時大きく報道されたが、乗客たちの命を救った「90秒ルール」に注目した人も多いのではないだろうか。
旅客機は火災発生の場合、機内の全非常用脱出口のうち半数の出口を使って、90秒以内に全乗客乗員が脱出できるように設計されている。事故発生時に、全部の出口が使えるとはかぎらないため脱出口の半数以内と決められている。
これは航空機メーカーに課せられた国際的なルールで、たとえ定員500人以上の大型旅客機でも同様である。
緊急脱出時のルールはなぜ90秒か?
なぜ90秒なのかというと、飛行機では火災が発生してから2、3分で爆発するケースが多いからだ。脱出検査でも90秒以内に脱出しないとパスできない。その脱出に使われるのが、滑り台のようなエスケープスライドだ。通常はドアや翼上の非常口に収納され、非常時にはこれを滑って脱出する。
また飛行機は海の上に落ちるかもしれない。そのため「救命ボート」が装備されている機体もある。漂流用としても使えるように、水や食糧、テントまで用意されている。
旅客機には、これ以外にもアクシデントに備え、消火器、医薬品はもちろん救命胴衣、酸素マスクなども装備されている。また、航空機では、緊急時には客室乗務員が保安要員となる。客室乗務員も事故が起こりやすい離発着時にはとくに注意をはらい、いざというときは乗客をすみやかに誘導するように教育が徹底されている。