ロバート秋山竜次に聞いた「ノリで言っただけなのに」名言になる“秘密”
伝説のナイトクラブのママ「矢崎すず子(85歳)」
――やり取りはアドリブにしても、衣装やメイクに関しては、尋常じゃない事前準備が必要そうです。そこは「こういう感じにしてほしい」と……?
秋山:メイクさんはもう長い付き合いなので、「こういう感じのやつをやりたい」って言えば、わかってくださいます。たとえば「矢崎すずこ」だったら、伝説のナイトクラブのママで年齢は80歳ぐらい、少し崩れてきている感じで、浮くぐらいの白いお化粧、口紅もはみ出して……とか。
そうしたら、メイクさんは、普通に白く塗るんじゃなくて、一度接着剤のような謎のものを顔に貼って。メイクが乗らないようにするメイクをしていましたね。技がすごいんです。
――結構時間がかかったのでは。
秋山:これは2時間ぐらいかな? あとウィッグも大事で。誰がどう見ても「ウィッグかぶってる!!」というふうにしたかったんです。だから、ウィッグの上にもう一個、微妙に色の違うウィッグを重ねて。
衣装はおばあちゃんっぽい派手さがありつつ、声はガラガラで、手にはタバコを持っている……みたいな。メイクと衣装は、イメージした“像”を現実にしていく作業ですね。
名前は「メイクした自分を鏡で見てから」
――当日、「このウィッグ違う!」っていうことにならないように、事前準備は念入りにしなくちゃいけませんよね。
秋山:そうなんです! スタッフは本当に大変だと思います。それまでのやり取りは基本全てLINEでやって、ウィッグや衣装の実物を見るのは当日。僕は現場に行って、座って、なんなら寝ているときもあります。起きたら別人が完成しているという(笑)。まずそこをクリアしないと名前も浮かばないし、なかなか脳も切り替えられない。
――え、名前って後から考えてるんですか?
秋山:8割ぐらいの名前は、メイクも衣装も全て仕上がって、さあやりますよっていうときに鏡を見て決めています。
発注物で名前を入れる必要があるものは先に考えますけど、基本、その場で思いついたもの。適当だけど、「いそうだなあ」っていう組み合わせです。例えば「矢崎すずこ」とかも、メイクが分厚い人は、濃い名前よりも薄いほうが引き立つなとか。語感や漢字のバランスも、なんとなく“こういうのがいいな”というものが、ありますね。