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ブライダル業界の“風雲児”が語る「休みなし」で走り抜けた創業期と今

ビジネス

会社のレピュテーションが重要な鍵に

テイクアンドギヴ・ニーズ

 こうしたなか、新郎新婦への「結婚式のキャンセル料の請求」が社会問題化し、メディアで一時期大きく取り沙汰された。しかし、T&Gは業界に先駆けて「日程変更料、キャンセル料なし」を打ち出し、世間から“神対応”と称され、注目を集めた。

「いつかはコロナが収束するわけですが、その際に最も重視されるのは会社のレピュテーション(評判)です。人生の一大イベントとも言える結婚式を任せたくなる会社かどうか、一生の思い出を作るために一生懸命に社員が取り組んでいるか、ということが非常に大切になってくる」

金融機関から100億円の融資枠

 また、社内のみならずあらゆるステークホルダーともしっかり話し合い、同社がコロナ禍にどういう姿勢で立ち向かっているかについて声を挙げていったという。

「官公庁のブリーフィングでは、正解・不正解のないなかで、覚悟を決めて真面目に取り組んでいるブライダル業界の実態を伝えました。また、金融機関には赤字が予想される経営状況をどう打破し、黒字へと転換させていくかを話し合いました。お客様が喜ぶ結婚式を企画し、プロデュースするためには社員の力が絶対に必要。

 雇用はもちろん、給与や賞与もカットせずに支払うという姿勢を貫く意義を理解してもらい、金融機関から100億円の融資枠を設けていただきました。その結果、未曾有の危機に屈することなく経営に着手することができたんです」

 予想だにしなかった有事であっても、野尻氏は冷静沈着かつ毅然とした態度で目の前の問題をひとつずつ解決していった野尻氏。引き続きその経営哲学に迫っていきたい。

<取材・文・撮影/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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