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不動産業界「ファックス文化」に“変化の波”。ハンコ、印紙税…業者の本音は

ビジネス

 店舗に出向いての商談、たくさんの紙の書類、ハンコ文化など、アナログ色が強い不動産業界でオンライン化が一気に進みます。5月18日から改正宅建業法が施行されたことで、オンラインを活用して契約を交わせるようになりました。

契約 印鑑

※画像はイメージです(以下同じ)

 すでにDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいる業種で働く人からすれば「何を今さら」と感じるかもしれませんが、保育や物流業界などと並んでDXが遅れがちな不動産業界において、国がオンライン取引を認めたことは大きなインパクトがあります。法改正のポイントのほか、実際に不動産業界で働く人の声を交えてお届けします。

2013年から進む不動産業界のオンライン化

 法改正に合わせて、「ついにネット解禁!」といった見出しの記事を多く見かけるようになりました。しかし不動産業界のオンライン化は何年もかけて、ゆっくりと進められてきたことなのです。

 話は2013年にまで遡ります。同年「世界最先端IT国家創造宣言」が閣議決定され、その中で「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」が策定されました。こうした中、不動産取引における「重説」をIT化する機運が高まったのです

 重説は「重要事項説明」の略語で、さまざまな項目が書き込まれている契約書面中で「特に重要な箇所」を不動産業者が顧客に説明することを言います。この際、宅建士は顧客と対面で重説を行うことが宅建業法で決められていました。しかし顧客は東京に、不動産業者は大阪にいるような状況では不便ですし、重説は契約上大切な部分の読み合わせですので、よく考えればわざわざ対面で実施する必要もないわけです

 そこで国交省は、不動産の賃貸取引に限定し、試験的に重説をオンラインで行う実証実験を2015年に開始。その結果、大きな問題がないことがわかったため、2017年10月から業者、顧客双方が合意し、ネット環境が整っていることを条件に賃貸取引でのIT重説が可能になったのです。

ハンコの必要なし!印紙税もかからない

不動産

 それでは、2022年の法改正で具体的にどんなことが変わったのかまとめてみました。

1:賃貸、売買ともに重説、契約書締結がオンラインで

 法改正により、賃貸に加えて売買取引でもIT重説ができるようになったほか、新たに契約書の締結もネットを活用して行うことが認められました。つまり、やろうと思えば物件や部屋探しから商談、内見、契約まで不動産業者と一度も会うことなくオンラインで完結できるようになりました。顧客には移動や来店の手間が省けたり、離れた場所にある物件の購入がしやすくなったりするメリットがあります。

 オンラインでの契約締結に伴うメリットに、印紙税が発生しないことが挙げられます。紙の契約書の場合は契約の金額に応じて印紙税を納めないといけません。しかし電子取引では印紙が不要のため、印紙税も発生しないのです。特に売買の場合は購入後に不動産取得税の支払いでまとまったお金が必要なので、印紙税を節約できるのは利点ですね。

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