ヨン様のCMは「センセーショナルな出来事」。眼鏡市場の2代目が語る“帝王学”
かけ心地やフレームの強度に自信
また、購入いただいた商品情報だけでなく、目的別に提案したレンズの種類や度数など、すべての顧客情報をデータとして残しており、要望に応じた最適な提案ができるのも、他社との優位性につながっているそうだ。さらにメガネ業界では数少ない国内の製販一体を実現し、ものづくりへのこだわりも随一と言える。
「福井県鯖江市に自社工場を構え、メガネの品質管理にも力を入れています。製造過程でパーツを減らせば原価が安くなり、そのぶん低価格で販売することもできますが、掛け心地やフレームの強度、ネジの緩みなど機能性が欠けてしまう。
新興企業はイノベーティブやメガネの軽さ、低価格路線に寄っている一方、メガネトップはお客様に長く使ってもらうために品質管理を重視しているので、より満足度の高い商品を提供できていると考えています」
上場廃止を決断するに至った理由
冨澤氏がメガネトップの陣頭指揮を執るなかで、最もエポックメイキングだったのは2013年の株式上場廃止だろう。MBO(経営陣による買収)を行使し、非上場企業として再出発したわけだが、上場廃止を決断したのはどのような背景があるのか。「『上場維持コスト』と『成長のスピード』を勘案し、意思決定を行った」という冨澤氏は、次のように説明する。
「上場のメリットは、市場から成長資金を集め、規模拡大や事業成長を目指していけること、そして人材採用につなげやすいのが一般的です。デメリットは株価を意識した経営など、上場維持コストが負担になってしまうことです。
当社の場合、無借金経営に近い状態を作れていたので、市場から資金調達するメリットが薄れており、私がIR活動に割く時間や労力を、ファミリー経営ゆえの社員と近いコミュニケーションを図れる風土や、風通しの良い社内文化への整備に充てることが、次なる組織づくりで重要になると予測していたので、上場廃止の道を選びました」