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ヨン様のCMは「センセーショナルな出来事」。眼鏡市場の2代目が語る“帝王学”

ビジネス

先代から学んだ「帝王学」

 いろんな部署と協議するなかで、冨澤氏は「知らないことが多いので、教えてください」というスタンスで話し合っていったそうだ。先代はカリスマ性を発揮し、トップダウンで会社を成長させてきたこともあり、冨澤氏は「自分が社員一人ひとりの意見に聞く耳を持ち、しっかりと話す機会を作る」という気概を持ちながら仕事に取り組んだ。

 笑顔で、明るく楽しく働ける社内環境を意識していった結果、次第に安心感や信頼が醸成されるようになったという。

帝王学ではないですが、周囲の方に感謝の気持ちを持ち続け、どのように行動で返せるかを幼少期から学んできたと思います。普段、働いている社員に敬意を持ちつつ、社員との接し方や振る舞いを常に念頭に置いていました」

28歳という若さで上場企業の社長に

眼鏡市場

 冨澤氏の経営に対する頑とした姿勢や、社員との良好な関係性の構築が相まって、2009年には28歳という若さで社長の座に就くことになる。当時の東証一部上場企業の中では最年少社長だったということもあり、業界内外からは多くの反響が寄せられたそうだ。

「現会長の父に『まだ自分が元気なうちに昌宏へ後を継ぎたい』と言われ、社長就任を命じられたのがきっかけです。父としては、もし経営が悪化しても自分がサポートできるうちに後を継がせたかったのだと思います。ただ、父の存在がとても大きいので、社内的には会長の意向で動くことが多く、私は主に社外の目を重要視していました。IR業務を担当し、投資家などのステークホルダーを意識しながら情報の透明性を出すために尽力しました」

 若くして上場企業の社長に就任し、2012年3月(2011年度)に業界売上No.1までメガネトップを浮上させた理由は「スピード感を持った意思決定を繰り返してきたのが大きい」と冨澤氏は続ける。

「コモディティ化が進む中で業界をリードしていくためには、決めたことに対してどれくらいスピード感を持ってやっていけるかが大事になります。勝算や将来性を見込めるものがあれば、どこよりも早くアクションを起こす。確信を持ったらすぐに取り組むことを意識してきました」

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