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大江戸温泉物語は「事業価値はないに等しい」ハゲタカファンドが買収した狙いとは

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20物件が売却候補に挙がっているか?

買収

 日本経済新聞は、ローンスターの大江戸温泉物語の買収額が600億円程度に留まったと報じています。500億円で買収したベインは7年間出資をして、会社の転売による利益が100億円程度と決して高くはありません。しかし、リートを通して物件を売却しており、そこで十分な利益が得られたものと考えられます。

 大江戸温泉物語の運営する施設は現在39軒(公式ホームページより)あります。大江戸温泉リートの保有する資産は19施設。大江戸温泉が運営する施設が物件を所有しているとすれば、20施設は売却候補があります。ローンスターはその物件に目をつけたものと考えられます。大江戸温泉アセットマネジメントは大江戸温泉の100%子会社であり、親会社に有利な価格でリートに売却する力が働いてもおかしくはありません。リートはかねてより利益相反が指摘されています。

 ローンスターはチサンホテルを再生させた実績があり、ホテル再生は得意分野のひとつです。今回の買収はコロナ禍で底値を拾うことができたと予想できます。ローンスターは観光業の復活を待ち、物件の価値が向上したタイミングでリートに次々と売却して利益を手にする。それが買収の狙いだと考えられます。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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