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大江戸温泉物語は「事業価値はないに等しい」ハゲタカファンドが買収した狙いとは

ビジネス

2016年8月に大江戸温泉リートを上場

大江戸温泉物語

大江戸温泉物語 東京お台場(2021年6月23日に閉館)

 ベイン買収後すぐの2016年3月、大江戸温泉は投信法に基づくリート設立に関わる届け出を提出し、大江戸温泉リート投資法人を設立しました。その年の8月に上場しています。リートとは、投資家(主に個人投資家)から集めた資金で不動産への投資を行い、賃料や売却によって得られた資金を配当として還元する仕組みです。大江戸温泉リートは投資の受け皿となるペーパーカンパニーです。

 大江戸温泉買収の肝となるのがこのリートです。大江戸温泉リートの資産運用管理をしているのは大江戸温泉アセットマネジメント。この会社は大江戸温泉の100%子会社です。リートを組成することにより、大江戸温泉は保有する資産を大江戸温泉アセットマネジメントを通じて自由に売却することができるようになりました。

 大江戸温泉は調子の良い資産だけをピックアップして、身内の会社を通して売却する仕組みができたとも言えます。大江戸温泉リートは設立以来、合計268億4400万円で資産を取得しています。取得先は合同会社香川県観光開発と大江戸温泉物語。合同会社香川県観光開発は香川県丸亀市のレオマリゾートを保有・運営する会社であり、大江戸温泉物語グループ傘下にあります。

安く仕入れて価値を上げ、売却

大江戸温泉物語

※大江戸温泉リート「国内不動産の取得完了に関するお知らせ」より

 レオマリゾート(旧レオマワールド)は1991年に開業したものの、2000年に閉園し、運営会社が民事再生法の適用を申請して経営破綻した施設です。テーブルマーク(旧加ト吉)など地元産業界の手によって営業再開したものの振るわず、大江戸温泉物語が経営権を取得しました。大江戸温泉物語は10億円を出資して劇場を建設し、資産価値を上げました。

 そのほか、旧タラサ志摩の「大江戸温泉物語 伊勢志摩」や「伊東ホテルニュー岡部」など、一時閉館や倒産に追い込まれた施設が目立ちます。大江戸温泉リートは2017年11月にも追加で資産を取得していますが、取得先はやはり合同会社香川県観光開発と大江戸温泉物語です。買収額は98億6100万円です。

大江戸温泉物語

※大江戸温泉リート「国内不動産の取得及び貸借に関するお知らせ」より

 大江戸温泉リートが保有する資産は全部で13施設。取得価格は合計344億4500万円です。大江戸温泉が買収する旅館やホテルは閉館したものや倒産した物件であり、取得額は極めて安い物件です。閉館した物件を安値で仕入れ、リニューアルで価値を上げ、再生が上手くいった物件を大江戸温泉アセットマネジメントを通してリートに売却する。大江戸温泉リートを買収したベインキャピタルは、この繰り返しで利益を得ることができました

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