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「スーパードライ」発売36年で初フルリニューアルのワケを直撃。辛口への誤解も

ビジネス

コロナ禍、消費者の価値観が大きく変化

アサヒビール

「風向きが変わったのは、2020年10月の酒税法改正とコロナの広がりでした。ビールの酒税が下がり、さらにコロナで家飲みが伸長したことで、ビールの価値が再認識されたんです。この流れは大きなチャンスになると感じました。

 とはいえ、スーパードライのユーザーは想定ほど増えず、もう見逃せない状況にあることも事実でした。実際に、ブランドイメージが古く感じられるという声や『辛口』という表現への誤解も出てきていました。ここで思い切った戦略を打たないとお客様の心をつかめないと考え始めたんです」

 さらにコロナをきっかけに社会環境が大きく変わり、消費者の価値観も大きく変化したことに気づいたという。

「以前は、仕事ではキャリアアップを目指し、常に高い目標をもって成長し続けるという価値観が一般的だったと思います。しかし、テレワークが広がり、自宅で仕事をする人も増える中で『自分らしい働き方』や『自分らしい時間の楽しみ方』を求める人が増えました。このように生き方や働き方が多様化する中で、スーパードライも変化する必要があるのではという声が、社内で大きくなりました」

心配と葛藤の中でのプロジェクト

 リニューアルへの第一声は、マーケティング部門からあがった。スーパードライの現状や顧客の動向を分析する中で、ブランドとしてのあり方をイチから考えるべきという結論に達したのだ。

「失敗したらどうするんだという心配もありました。それだけでなく、私たちマーケティング部の中にも強い葛藤があった。発売から36年も経つと、アサヒビールのブランドであるだけでなく、お客様のブランドでもあるからです。お客様のスーパードライを変えて良いものかと、本当に悩みました

 そこで、新しいスーパードライの味が間違いないという確信を得るまで、お客様への調査を入念に行いました。また、プロジェクトチームは部門横断的に集め、マーケティング部のほか、宣伝部、新商品開発部、営業部、さらに広告代理店や戦略コンサルティングの方々、いわゆる外部の知見も取り入れました。経営陣とも週1でディスカッションを行い、『スーパードライの未来』について考え抜いた期間だったと思います」

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