龍角散「6000万円セクハラ訴訟」が和解。会社側が敗訴でも残された課題
解決金の6000万円は妥当?
退職することを条件に法務部長の基本給を定年まで勤務した場合の8年分を計算して解決金が6000万円に至ったと報道されています。真相はもちろん当事者にしか知り得ないことですが、ハラスメント事件では異例とも言える高額での和解となりました。
「セクハラ訴訟でうまくいけば6000万円ももらえるの?」と思った人もいるかも知れません。実際に訴訟を起こす場合、証拠集め、弁護士費用、裁判の先行きに確証がないことから精神的なエネルギーの負担や勇気も必要です。訴訟を起こすことはハードルが高い面もありますので慎重に検討する必要があります。
有名企業ほど提訴されるとメディアで取り上げられやすくなります。企業名が出ることでさまざまな理由からビジネスがうまくいかなくなる可能性も出てきます。例えば「セクハラで問題になっている会社だよね?」と言われてしまうと、対応する従業員は気まずい思いをしなければならなくなります。
取引先から信用を失うことは大きな痛手ですが、自社の従業員からも信用を失うことで離職者が出たり、求人を出しても応募者が集まらない、裁判が終結するまでの間はどこか疑いの目で見られてしまうなど、何も良いことがありません。最悪のケースだと株価に影響することもあります。
アデランスのセクハラ訴訟では1300万円
2014年には、増毛・ウィッグ・ヘアケアで有名な「株式会社アデランス」の店舗で働いていた女性が、男性上司からセクハラを受けたことによりPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、退職せざるを得なくなったとして同社を提訴する事件がありました。
無理やりキスをしようとする、体を触るなどのセクハラ行為があり、被害に遭った女性は警察に被害届けを提出しようとしたところ同社の幹部に制止されました。さらに精神的に不安定になり退職。
アデランス側が1300万円の解決金を支払うことで和解に至りましたが、半額の650万円は男性上司が支払うこと、さらに男性の勤務先や出張先は被害者の女性が居住する地域は避けるよう努めることも和解条件として盛り込まれました。