宅配寿司業界で一人勝ち「銀のさら」、創業社長が明かす秘訣は“怒らない経営”
「怒る」と「叱る」は全く違う
それが同社が掲げる「怒らない経営」の出発点になった。
社員が携帯するクレド(行動規範)には「怒りの根絶 人生の目的である幸せの対極は怒りである――」「怒りの正体 『不安』と『不満』こそが怒りの原因である――」と記されている。理念を信じ、事業にまい進していると200店舗を超えたあたりから黒字化に成功した。
「人間が怒るのはなぜか。不安と不満からですよ。自分が何も分かっていないから不安になる。感謝の念が足らないから不満を持つんです。もちろん感情に任せた『怒る』と、心から相手のためを思った『叱る』は全く違います。
それを混同している人が多いけど、明確に違いが分かっていれば、人生だってビジネスだってうまくいく。あとは自らの良心と信念に基づき、正しいと思うことを徹底してやり抜くだけなんです。結局は人生観、哲学ですよ。まあビジネスが成功してなかったら『こいつ何を言ってんだ?』って話になるんでしょうけどね(笑)」
強さの理由は「凡事徹底」にあり
「正しいと思うことを徹底してやり抜くだけ」。この江見社長の言葉にも同社の強みが潜んでいる。クレドにはこんな一文もある。「『凡事徹底』とは『誰でもできることを、誰もできないくらい徹底してやる』事である」
同社の強みを知るために、江見社長だけでなく社員の方にも話を聞いた。デジタルマーケティング部の渋谷和弘エグゼクティブマネージャーはこう打ち明ける。
「過去にはたくさんの宅配寿司チェーンがありましたが、なぜ当社が市場シェアを広げられたと思いますか? 社長に言わせれば『運が良かった』なんですけど(笑)。でも、本当の答えは『凡事徹底』だと思います。
他社はチラシのメニューはすごく美味しそうでも、届いた実物は崩れていたり、チラシとは違う場合が多い。でも我々はネタの厚み、シャリの重さもチラシ通りそのままの物をお届けします。見た目だけでなく、約束したお届け時間もきっちり守る。細かいことの積み重ねの結果なのですが、それが凡事徹底なんです」(渋谷さん)