レトルトは手抜きか?大塚食品が“具なしのボンカレー”を発売した事情
株式会社インテージが提供する全国小売店パネル調査(SRI)によれば、2017年に固形ルウカレーを追い抜き、以降、堅調に市場規模を拡大し続けているのがレトルトカレーだ。レトルトカレー市場が拡大する背景には「味」「時短」「個食」といった要因が隠れているが、ここ最近ではそれに「コロナ禍での家食増」が加わるのは間違いない。
1968年に世界初の市販用レトルト食品「ボンカレー」を発売した大塚食品株式会社から、具なしのレトルトカレー「ボンカレークック」(甘口、中辛の2種類)が8月23日に発売された。甘口・中辛ともに1人前150g×3袋入りで、価格はオープン価格。
発売直後から「フライパンで時短」「食材の味を邪魔しないのでいいかも」とネットで話題の「ボンカレークック」について、同社の高付加価値レトルト担当プロダクトマネージャー、中島千旭氏に話を聞いた。
簡便性を重視するニーズも
レトルトカレーの需要が拡大している理由を「新しい生活様式の浸透により、自宅で料理をする頻度が増加するにつれ、献立にも悩んでいる方が増えていること」「簡便性を重視するニーズや嗜好の多様化」「巣ごもり消費の一環としてのストックの増加や非常時の備蓄品としてのニーズもあること」と同社では分析している。
「レトルトカレー市場の現状を把握した上で、コロナ禍での生活者の認識や行動が変化するなか、家庭の温かいおいしさを目指すボンカレーがお役立ちできるのではと考え、調理用レトルトカレーとして『ボンカレークック』を製品化する決断に至りました」(中島氏)
「ボンカレークック」の甘口は、バターを加えて深いコクを出し、60分間じっくり炒めた国産たまねぎとさつまいもペーストの旨みがとけこんだ濃厚でまろやかな味わいが特徴。一方、中辛は、オリジナルブレンドのスパイスを使用し、60分間じっくり炒めた国産たまねぎの旨みとビーフのコクがとけこんだ濃厚な味わいが特徴となっている。
「レトルトは手抜き感が」の悩みに
同社が行ったアンケートの結果、レトルトカレーに「毎回、もしくは2、3回に1回はトッピングやアレンジを加える」と答えた人が60%もいたことがわかったという。
さらに、
<レトルトはおいしくて便利だけど、手抜き感があり、家族にそのまま出すのは少し後ろめたい>
<ルーで作るうちのカレーは具たくさんでおいしいけど、一度に食べきれないので必ず冷凍する>
<子供の好みに合わせていつも甘口になってしまう>
<夫も私も在宅勤務が増え、料理の負担が増えたし、買い物や外食の頻度も減らしたい>
といった声を受けて、好きな具材と組み合わせて自分好みのカレーができる“調理用レトルトカレー”のボンカレークックが誕生した。中島氏は「(調理用レトルトカレーというポジションについて)レトルトカレー上位ブランドの中では少ないと思います」と語る。